2015年8月号記事
interview
緊急インタビュー
日本の有事に米空母は日本近海に来ない
このほど訪米してアメリカの専門家と意見交換した軍事の専門家に、 対中国戦略におけるアメリカの真意と日本がなすべきことについて聞いた。
元陸上自衛隊西部方面総監
日本戦略研究フォーラム政策提言委員
用田 和仁
(もちだ・かずひと)元陸上自衛隊西部方面総監。元陸将。日本戦略研究フォーラム政策提言委員。1952年生まれ。防衛大学校を卒業後(19期)、陸上自衛隊幹部候補生学校の75期。陸上幕僚監部教育訓練部長、統合幕僚監部運用部長、第7師団長などを歴任した。
中国は現在、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で大規模な埋め立てを行い、滑走路などの軍事拠点づくりを着々と進めています。
それにもかかわらず、日本の国会は「安保法制」が違憲か否かで大騒ぎ。おそらく中国の習近平国家主席は、腹をかかえて笑っているでしょう。
4月に日米防衛協力のための指針(ガイドライン)が、18年ぶりに見直され、大きな進歩があったことは喜ばしいことでした。しかし、この新ガイドラインで繰り返し使われた、日本が「防衛作戦を主体的に実施」し、米軍は「自衛隊の作戦を支援し、補完」するとしたところに、重大な意味が隠されています。
結論から言えば、 アメリカはこのガイドラインを通じて、自分たちの力が落ちていることを認め、「単独では対中国作戦を遂行できない」と宣言したに等しいのです 。この懸念は私が訪米した際にも感じたことです。
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