翁長氏「基地は沖縄よりも熊本に」と主張 抑止力低下は沖縄を見捨てることになる
2015.10.22
沖縄県の米軍普天間飛行場の移設をめぐり、翁長雄志(おなが・たけし)知事が、辺野古沖の埋め立て工事の承認取り消しを行ったことで、防衛省はその承認の無効を国土交通相に申し立てていた。これに対し、翁長氏は21日、「承認取り消しは正当だ」とする意見書と弁明書を国土交通相に送付した。
防衛省が国土交通相に提出した申立書には、翁長氏が懐疑的にみる米軍の抑止力の重要性を強調。知事側が「朝鮮半島と台湾有事に対応するには、熊本が適している」との主張に、防衛省は「距離の総和のみに依拠すべきではない」と反論。「中国の太平洋進出や南シナ海などの安全保障を考えれば、沖縄には地政学的な優位がある」などと説明した。
宜野湾市民が翁長氏を提訴
さらに、普天間基地のある宜野湾市民が20日、「翁長氏の判断は権限乱用である」として、承認の取り消しと翁長氏に対する損害賠償を求めて提訴した。原告団長で元宜野湾市議の平安座唯雄(へんざ・ただお)氏は記者会見で、「代替案を示さず承認を取り消すことは、無責任だ」「翁長氏は必要性を検討するにあたり、尖閣諸島防衛や中国の脅威に一切触れていない」などと述べた。
尖閣諸島をはじめとする中国の脅威を見れば、防衛省の主張や宜野湾市民の提訴は、悪化する日本の安全保障環境を象徴している。翁長氏が指摘する基地を熊本に移設するというシナリオも、現状の抑止力を維持することは難しい。負担を解消するために沖縄防衛に空白を生じさせるのなら、米軍や自衛隊が駐屯する意味はなく、それこそ有事になれば、日本が沖縄を見捨てることになるではないか。
基地反対派は「基地があるから攻撃される」と主張しているが、基地があろうとなかろうと、沖縄は戦略的な要衝であり、攻撃される可能性はゼロにはならない。そうならないためにも、基地と住民が共存できる辺野古への移設を進めるべきだ。(山本慧)
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