習近平の訪問前に揺れるアメリカ 中国は「敵」か「味方」か?
2015.09.24
習近平・中国国家主席が22日から28日にかけて、国賓としてアメリカを訪問する。
22・23日は、アメリカ西海岸でビジネスリーダーなどとの会議の場に出席する。24・25日には、米首都ワシントンを訪れ、オバマ米大統領および米政府首脳部と会談し、26日から28日にかけて、ニューヨークの国連70周年総会に出席する予定だ。
中国は「フレンド」+「エネミー」の「フレネミー」?
米メディアは、習氏の訪米を「『フレネミー』(Frenemy)の訪問」と報じている。
「フレネミー」とは、「Friend」(友人)と「Enemy」(敵)を混ぜ合わせた造語。「味方のふりをしている敵」や「ライバルでもある友人」と認識する相手を指す。
しかし、この言葉が実際に、外交や国際関係の場で用いられる場合は「味方のふりをしている敵」として用いられることが多い。「敵」と認識している相手を刺激しないように表現を和らげたものだ。
アメリカは、中国との経済関係を保ちたいと思う反面、同国を地政学的なライバルと見なしている。
「経済パートナー」から「安全保障の敵」へ?
会談の内容はどのようなものになるのだろうか。
米インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙によると、アメリカ側が提起している会談の内容は、「中国によるサイバー攻撃」「南シナ海問題」「中国国内で活動する海外企業のITシステムなどを中国政府の官制下に置く新しい国家安全保障法」などだという。
これに対し中国側は、「新たな大国関係」「米企業によるテクノロジー事業への投資」「南シナ海問題」に関する会談を望んでいるという。
アメリカが対中関係を考える際に、「経済関係」から「安全保障関係」へと認識の軸が移っていることが分かる。
これを象徴するように、米共和党の大統領候補となるために活動している候補者たちは、中国に対して非常に厳しい目を向けている。候補者の一人で、米ヒューレット・パッカード社の元CEOのフィオリーナ氏などは、「オバマ政権は習氏との公式晩餐会をキャンセルすべきだ」とまで発言している。
安保法制は大事な一歩だった
アメリカの認識が変わってきた理由の一つは、南シナ海や東シナ海における中国の横暴が露骨すぎる面と、サイバー攻撃などでアメリカ自身に被害が出始めているからだ。
これは、日本にとっては外交的なチャンスと言えるかもしれない。日本にとって「最悪の事態」は、米中同盟が結ばれることによって日本が孤立することだ。アメリカが中国への警戒心を募らせているいま、日米同盟を深化させ、中国の脅威に対する抑止力を高めるべきである。
外交的に日本の立場を強めるという意味でも、安保法制の可決は重要な一歩だった。(中)
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2015年9月20日付本欄 中国では許されない安保法制への抗議活動 自由を守るために「抑止力」が必要
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