アメリカの雑誌「無神論者」のコラムニストであり、歴史研究家でもあるマイケル・パウルコビッチ氏が、ナザレのイエスは伝説上の人物で実在しなかったと主張したことを、このほどMail Onlineが報じた。

同氏は、自身の調査対象である1~3世紀に書かれた126件の歴史文書の中に、イエスについて検証できる言及がほとんどないことに関して、イエスは「世界的に有名」であるのにかかわらず、驚くべきことだと発言。

さらに、同氏は、イエスは崇拝の対象としてキリスト教信者によって「発明」されたものと述べている。

この記事に関する意見は割れており、イエスの存在を肯定している人たちは「証拠がないからと言ってイエスが存在しないということではない」などと主張し、否定している人たちからは、「すべての宗教は人の信頼につけ込む詐欺であるということは常識だ」「神なんて妄想に過ぎない」などという声が上がっている。

キリストの存在に関しては様々な視点から議論がなされているが、「なぜキリスト教が世界宗教になったか」という点は外せないだろう。人間の「発明」や教会制度の組織運営のみで、本当に世界中にキリスト教が広まったのだろうか。

キリスト教、イスラム教と並んで世界三大宗教である仏教にも、その伝道の広がりには諸説ある。その中には、「釈迦在世時にはあまり伝道活動は進まなかったけれども、釈迦入滅後、仏教の大乗運動が進み、多くの人々が仏教に帰依するようになった。特に、仏塔信仰から大乗運動が広がった」という説もあるのだが、大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『悟りの挑戦(下巻)』(幸福の科学出版刊)の中で、仏塔信仰のような事物崇拝から伝道が広がったわけではないと断言。宗教が広まる背景には、強力な霊的エネルギーの磁場をつくる宗教家の存在を外すことはできないと指摘している。

キリスト教も同様に、その信仰が広がったのは人間の「発明」によるのでも、教会という建物があったからでもない。キリストの救世主としての強力な霊的エネルギーがその始まりにあったのであり、それを受け継いだ弟子や、天上界からの霊指導によって、教えが広がったといえる。霊的側面を無視し、歴史文書だけで、世界宗教を打ち立てた宗教家の姿を語ることなどできない。(冨)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『悟りの挑戦(下巻)』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『宗教社会学概論』 大川隆法著

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