2014年10月号記事

反原発、反安倍、STAPたたきだけじゃない

NHKへの公開質問状

なぜ超常現象を否定したいのですか?

最近、NHKが「超常現象」を立て続けに取り上げている。5月からNHK総合で放送している「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(以下、超常ファイル)を筆頭に、長寿番組「ためしてガッテン」などでも取り上げた。しかし、いずれも「超常現象はなかった」という結論ばかり。なぜNHKは、わざわざ番組を作ってまで超常現象を否定するのか? そこには、反原発や反安倍、STAPたたきなど、NHKの論調に共通する「ある考え方」が見えてくる。

(編集部 大塚紘子、只木友祐、居島有希)


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「超常ファイル」の総合プロデューサー、渡辺圭氏は番組HPで、超常現象の検証により「人間の脳や心理の意外な機能、社会の仕組みの落とし穴、知られざる驚きの自然現象」が明らかになるとしている。霊や宇宙人など、「目に見えないもの」は元々想定していないようだ。

番組内でも、UFOは全て見間違い、アブダクションは睡眠障害と偽りの記憶と説明。また、「ためしてガッテン」では、金縛りは全て不規則な生活や病気のせいと結論し、歴史教養番組「タイムスクープハンター」では、ポルターガイストはイタズラと断定した。一連の番組構成は、「超常現象はない」という結論ありきの“非科学的"な内容にしか見えない。

そこで本誌は、番組の制作方針についてNHKに質問を送った(下)。残念ながら「(取材は)多忙のため、難しいことをお伝え致します」という回答だったが、番組を検証することで、一連の番組についてのNHKの真意を探る。

本誌がNHKに送った質問状

質問 1

「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」について、番組プロデューサーの渡辺圭氏は番組ホームページで、超常現象を検証すると「人間の脳や心理の意外な機能、社会の仕組みの落とし穴、知られざる驚きの自然現象」が明らかになってくると述べています。この言葉から、番組は、全ての超常現象は「目に見えるもの」で説明できるという前提で制作していると見受けられます。しかし、 科学も学問も発展途上である以上、全てが説明できるとして霊や死後の生命、宇宙人などは存在しないと決めてかかるのは、科学的態度とは言えません。 この点についてどう考えますか。

質問 2

同番組の「私はUFOに誘拐された!?」(総合テレビ4月5日放送)では、 アブダクションは全て脳が作り出した幻想であると結論づけていました。しかし、アブダクションで傷やインプラントが残った事例や、第三者が証言を裏付ける事実を目撃している事例などは紹介されていませんでした。 そうした情報についてなぜ触れなかったのでしょうか。

質問 3

同番組の「衝撃! UFO映像を徹底分析 Part1、Part2」(同6月21日、28日放送)では、UFOは全て見間違いなどであると結論づけていました。しかし、 原因が解明されていないUFO遭遇の事例が多数あるにもかかわらず紹介されていませんでした。 そうした情報についてなぜ触れなかったのでしょうか。

質問 4

「ためしてガッテン 『その金縛り、病気かも!?』」(同4月30日放送)では、金縛りは全て、病気を含む入眠時の脳と体の特徴に由来する現象と結論づけていました。しかし、金縛りの最中に死者しか知らない情報を教えられたり、事前情報がないのに複数の人が同じ場所で同じ幽霊を見るなど、脳が作り出した幻想というだけでは説明のつかない事例もあります。それらを紹介せずに、 全ての金縛りが脳に由来する現象と結論づけるのは非科学的ではないでしょうか。

質問 5

「タイムスクープハンター 『解明せよ!戦慄の超常現象』」(同4月26日放送)では、視聴者に江戸時代のポルターガイストは全てイタズラだったと思わせるような内容でした。 イタズラでは説明のつかないポルターガイスト現象の事例が現代でも存在することを考えれば、番組はポルターガイストについて間違った印象を視聴者に与えていると言えます。 この点についてどう考えますか。

質問 6

海外には、アメリカのケーブルテレビで制作されている「Fact or Faked :Paranormal Files」のように、肯定にも否定にも偏らずに超常現象を科学的に検証する番組があります。なぜNHKではそうした検証をせずに結論を出してしまったのでしょうか。