歴史ある京都の二つの神社が、ある問題で注目を浴びている。
一つは、学問の神様である天神様こと菅原道真を祭神とする北野天満宮(京都市上京区)。受験生やその家族などが、合格を祈願しに各地から訪れることで有名である。
ところが、最近、直接に参拝できない人たち向けに、インターネット上で「祈願代行」を請け負う業者が増え、たとえば「学業お守り」は、北野天満宮で直接いただけば700円だが、あるネット代行業に頼めば、手数料・送料込みで1900円、同じく合格祈願の絵馬奉納500円は2000円になるという。
北野天満宮側は、「本来は直接本殿に参拝し、その印としてお守・御札を受けるもので、参拝せずにお守だけ、御札だけ手に入れるのはおかしい」とし、「代行は詐欺行為に近い」との考えで、代行業を禁止する方針を打ち出している。
しかし、ある代行業者側は「宗教的にも法的にも代行がだめだという根拠はない」との立場で、やめるつもりはないようだ。
もう一つ、裁判沙汰になっているのは、陰陽師として有名な安倍清明を祭神とする安倍清明神社(京都市上京区)。「パワースボット」巡りが若者の間でも流行っているが、その代表的な場所の一つである。
その神社に隣接する土産物店が、多種の安倍清明や陰陽師関連のグッズを販売してきたのだが、昨年8月、神社側が「グッズは神社でお祓いしたものではない」として販売中止を要請。同11月には参拝者に対し、グッズを持って参拝しないことなどを求める立て看板を境内に設置した。
その結果、土産物店の売上げは約3割減り、「営業権侵害」であるとして、昨年12月、京都地裁に仮処分を申請したという。
宗教心が薄いと言われる日本人だが、「神頼み」で現実的な御利益をお願いすることには、老若男女を問わず熱心なようだ。そうした日本人の気質を利用した商売を、100%排除することは不可能なのかもしれないが、本物の信仰心を持ち、自助努力を続ける人には、「奇跡」と呼ばれるような現象が本当に起きるのだということを信じてもらいたいものだ。〈宮〉
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