宇宙人に関して情報鎖国状態にある日本では、大学教授が大新聞で堂々と宇宙人の存在を肯定的に論じた記事など見た記憶がない。29日付インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙にトロント大学のジャヤワルダーナ教授(天文学/天体物理学)がそんな記事を寄せているので、抜粋して紹介する。

・ 生命の存在する惑星が銀河系の中で地球しかないと考えるのは、傲慢(arrogant)とは言わないまでも理にかなっていない(absurd)。銀河には私たちの太陽に相当する恒星が何千億個もあり、惑星も至るところにあり、生命体の構成要素となる物質も豊富にある。生命はむしろ銀河の中でありふれたものかもしれないが、知的生命体は少ないだろう。

・ 他の星に生命の存在する明確な証拠が見つかれば、コペルニクスの太陽中心説やダーウィンの進化論にも優る人類の知的歴史上のターニングポイントとなる。地球以外に生命の存在する世界が発見されれば、時間が経つにつれ、生物学や哲学から宗教、芸術に至る人類の思想や営為のあらゆる分野に影響を及ぼすはずだ。

・ われわれが広い宇宙で一人ではないことがわかったら、その事実は、人類が種(しゅ)としてもっと成長を遂げるために必要な「キツいお叱り(kick in the pants)」の役割を果たすかもしれない。

同教授は名前からしてインド系と思われるが、自然科学の分野に留まらず哲学や宗教的インパクトにも言及し、「種としての人類の成長」まで視野に入れている点が興味深い。未来社会の「知」は文系・理系や東洋と西洋の区別を超えることはもちろん、宗教と科学をも融合した本物の「科学」となっていくに違いない。(司)

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