「ハッピー・ハロウィン」とでも言うべきか。
NASAのジェット推進研究所によると、10月31日に直径400メートルほどの隕石「2015TB145」が地球付近を通過するという。地球に直撃すれば、高さ50キロほどの津波を引き起こすと言われている隕石は、地球から最短で48万キロほどの距離を、時速12.5万キロ(音速の約100倍)という驚異的な速度で通り過ぎる。48万キロは地球と月の距離の約1.3倍であり、天文学的には極めて「近い」。
この隕石が怖いのは、その「質量」「速度」「地球の近くを通過する」という点だけではない。発見されたのが10月10日であり、地球の最短距離に到達するたった21日前まで、その存在が知られなかったことだ。
ロシアの隕石接近も、誰も事前に分からなかった
地球への衝突に対策を立てるには、準備時間が長ければ長いほど良い。仮に、「明日、巨大隕石が落ちます」と言われても、対策のしようがない。
例えば、2013年2月にロシアのチャリャビンスク州上空で隕石が爆発した。この時の隕石の直径は「たった」20メートルで、音速の約50倍の速度で大気圏に突入した。しかし、その程度の隕石でも、広島に落とされた原爆の約30倍の威力を持っていた。地上に激突していたら、大惨事となった可能性が高い。しかし、この隕石の接近については、誰も事前に知ることはなかった。
地球周辺には、大小1万2700個の隕石の存在が確認されている。2005年にアメリカ政府が制定した法律により、NASAは地球付近の隕石を見つける義務を負った。しかし、たまに今回のような「サプライズ」がある。
人類は互いに争うことの虚しさに気づくべき
日本も、地球周辺の隕石を探知するための取り組みを強化すべきかもしれない。また、そうした技術を開発する過程では、ミサイル防衛技術などが向上し、日本の国防にも役立つはずだ。
一方で、小惑星規模の隕石が地球に向かってきた場合、それを止めるのは、現在の技術力では難しい。その意味で、人類は常に「生かされている」という謙虚さを失わず、互いに争うことの虚しさに気づき、文明を守るための努力を続けていくべきだろう。(中)
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