キューバ、中国艦の常駐を撤回 アメリカや日本は民主主義精神の啓蒙を
2015.05.21
キューバは昨年合意した中国海軍艦艇のキューバ常駐を撤回したと、20日付読売新聞が報じた。
同紙によると、キューバは2012年、艦艇の派遣やカリブ海での合同演習などを中国に提案。習近平・中国国家主席は昨年7月、キューバを訪問し、最新鋭ミサイル駆逐艦を常駐させる方向で準備を進めていた。しかし昨年12月、アメリカとキューバが国交正常化交渉の開始に合意したことをきっかけに、キューバは中国に対する態度を一変させ、今回の撤回に至ったという。
カリブ海は「アメリカの庭」とも言える場所。その真ん中に浮かぶキューバに中国艦が常駐すれば、アメリカにとって大きな脅威となっただろう。
オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長は先月11日、1961年の国交断絶以来初めてとなるトップ会談を行った。その後、オバマ大統領はキューバのテロ支援国家の指定解除に踏み出すことを議会に通知。今月21日には、国交の回復と大使館の再開についての交渉が行われる予定で、29日にはテロ支援国家の指定が解除される見通しだ。
アメリカとの関係改善を優先し、キューバが中国艦艇の常駐を撤回したのは歓迎できる。キューバはこれを機に、社会主義体制を変革すべきだ。
キューバの人権弾圧が懸念材料
しかし、懸念も残っている。キューバは共産党の一党支配体制にあり、カストロ政権を批判した人が投獄されるなど、言論の自由がない状態だ。アメリカは再三、キューバの人権問題について取り上げ、複数政党制の導入を要求するなど民主化への動きを促してきた。それに対し、キューバは「内政干渉だ」と現在も反発している。
アメリカによるキューバへの経済制裁は今年1月に緩和されたが、これに対し米共和党は、「カストロ政権は、国交正常化によって得る資金を人権弾圧に使うはずだ。アメリカの国益に反する」と批判している。
キューバに必要なのは民主主義の精神
そのような中、最近の世論調査によると、キューバ国民の97%はアメリカとの国交正常化を支持し、年齢が若いほどに現体制に対する不満が強いという(今年4月発表の米マイアミの調査会社「ベンディクセン&アマンディインターナショナル」の調査)。キューバ政府は、これらの民衆の声を押しつぶすのでなく、民主化と自由主義経済への移行を進めるべきだ。
一方のアメリカや日本は、キューバの独裁体制や人権弾圧を放置してはならない。かつて中国は、経済面では資本主義を取り入れたが、政治体制は社会主義のまま今に至っている。資本主義経済を取り入れれば政治も自由化されるという予想は、幻想にすぎなかった。キューバの指導者や国民に、自由の価値や資本主義の精神を伝えていく必要がある。(泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『政治と宗教の大統合』 大川隆法著
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