中国が中東和平交渉仲介の動き 国際レベルでの「中華帝国再興」狙いか
2013.05.10
イスラエルとパレスチナの首脳が同時期に中国を訪問し、習近平国家主席や李克強首相と会談した。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は習氏の招きで中国を公式訪問し、6日に習氏・李氏と会談した。習氏はパレスチナ人の合法的な民族の権利の回復を断固支持した上で、パレスチナ問題解決推進の4項目を提示した。李氏は両国の国交樹立25周年であることに触れ、パレスチナへの支持を表明した。アッバス氏は、パレスチナ問題の政治解決を強調した上で、中国との互恵関係の拡大を望んでおり、中国が中東和平構築に重要な役割を果たすことを期待していると述べた。
また、イスラエルのネタニヤフ首相は李首相の招きで中国を公式訪問し、8日に李氏と会談した。会談で李氏は、双方向の貿易投資や科学技術、中国企業のイスラエル建設市場進出等における協力を訴えた。また、パレスチナ自治政府との交渉再開と、シリアへの空爆の自制も促したようだ。これを受けてネタニヤフ氏は、中国の第12次5カ年計画に参与し、中国との協力を強化していくと述べた。
両国首脳が中国を訪問したことを受けてか、アメリカのケリー国務長官は、5月後半にも中東を訪問し、イスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナのアッバス議長と相次いで会談し、中東和平に向けた話し合いをする意向を明らかにした。アメリカが中国を後追いする形だ。
中国が両国を同時期に招いた背景には、中東和平交渉を自らの仲介で再開しようとの意図があるようで、中国外務省の華春瑩報道局長はすでに2日の定例記者会見で、中東和平プロセスの構築に意欲を見せていた。中東和平交渉は2010年9月にアメリカの仲介で開催されたのを最後に中断されていたが、中国が和平交渉を仲介することで、アメリカに対する中国の発言力を強くする狙いも伺える。
中国は1949年の建国以降、「中華帝国の再興」を国家戦略に掲げ、その実現に向けて着々と準備を進めてきた。習主席も、「中国夢」という言葉を用いて、その神髄を「興国の魂、強国の気迫」に求めている。今回の件からは、アメリカが「世界の警察」の役割を縮小させている隙を狙って、中国が中東でも影響力を増し、「世界の大国」になり変わろうとの野望が読み取れる。中国が考えている「中華帝国の再興」は東アジアのみならず、世界規模のものであることを知らねばならない。(飯)
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