中国の歪な経済成長の崩壊が近づく?
2012.04.16
中国共産党の実力者・薄熙来(ハク・キライ)氏が失脚したことについて、産経新聞編集委員の田村秀男氏が同紙15日付コラムで面白い指摘をしている。
「失脚劇は中国の高度経済成長モデル崩壊の前触れである」というのだ。
中国の成長モデルとは、共産党指揮のもとで不動産などの投資を行って、8%以上の経済成長を維持するやり方のこと。しかし、その結果、不動産バブルが膨張し、一部地域で崩壊が始まっていることから、このモデルが崩壊しているという。
実際、中国経済が8%以上の成長を実現してきたといっても、その中身は異常だ。
田村氏の理屈はこうだ。
GDPとは、「民間需要」「公的需要(国の投資)」「財貨・サービスの純輸出」の合計である。
このうち、「民間需要」と「純輸出」は"操作"できない。しかし、「公的需要」については、党の指令でかさ上げできる。
その結果、中国の固定資産投資(公的需要の一部)だけでGDP(国内総生産)の40%以上を占めることになってしまった。要するに、お札を刷って公共事業にぶち込むことでGDPを増やし続けてきたわけだ。
ちなみに、日本のGDPの内訳を見ると(2010年度)、民間需要が75%、公的需要が24%、純輸出が1%だ。日本はあくまでも民間主導の経済だが、中国は完全に党主導であることが分かる。
市場経済を取り入れたと言っても、その実態は、かなりの程度「計画経済」になっているわけだ。その恩恵(権益)をたっぷりと受けてきた象徴的存在が薄氏だ。従って、その失脚は、中国式の高度成長モデルの崩壊を意味するというのが、田村氏の主張だ。
本当に国民が豊かにならなければ、いくら数字をよくみせても、その成長はむなしい。GDPで日本を抜いたといっても、その中身の健全さについて、中国はもっと日本を学ぶべきであろう。(村)
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2011年12月3日付本欄 中国のバブル崩壊、次々と表面化
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2012年2月号記事 中国のバブル崩壊いよいよ現実に "Newsダイジェスト"
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