資本主義の精神を殺す「維新八策」

2012.03.27

大阪維新の会は、維新政治塾と題して、3月24日いよいよ公募者から2000人の塾生を選んで定期的な勉強会を始動した。この塾生から、さらに次期衆院選挙の候補者を競争原理で絞り込んでいくという。

既存政党による政治の混迷に日本国民の失望感がまん延する中、「これからおおいくさが始まる」との橋下市長の呼びかけに「決戦前夜」の勢いを感じて、日本政治の閉塞感を誰かが破ってもらいたいという期待が集まっている。

ただ、やはり掲げられた政策の中に、資本主義の精神を殺してしまう最悪手の政策、致命的な欠陥がある。

その一つが、資産課税として日本国民の死亡時に、所有する固定資産を現金化し、税金として清算させるというものがある点だ。

よく世界の歴史上、近代資本主義の基本法と言われるものに、フランスの「ナポレオン法典」があり、現フランス憲法にもその精神は脈々と宿っていると言われている。

このナポレオン法典に関して、故小室直樹氏いわく「近代資本精神が成り立つには、契約の絶対、そして所有権の絶対が必要です。契約がきちんと守られ、私有財産の所有権が明確に保障されない限り、資本主義は作動しないのです。契約が守られなければ、商品と資本の流通がスムーズにできません。所有権が絶対でなければ、安心して投資は行われませんし、目的合理的な経営も出来ません。」とある。(『日本人のための憲法原論』293ページより抜粋)

要は、国家の租税による所得の再配分機能を絶対視して、国民の私有財産を形成する権利を国家が死亡時に奪い取る政策は、現日本国憲法(第29条)に定める国民の財産権も侵し、近代資本主義の精神を根本から否定する政策であり、結果的にマルクスの掲げた共産主義思想とまったく一緒だということだ。

現時点で、この政策の本質的欠陥に関して警鐘を鳴らすメディアがほとんどないので、あらためて指摘させていただきたい。(富)

【関連記事】

2012年3月25日付本欄 「天皇の国家元首」と「首相公選制」の矛盾 大阪維新の会

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4048


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