「GKB47」って何? 政府の自殺対策に批判多数
2012.01.27
14年連続で年間3万人を超える人が自殺した。累計は50万人に近づいている。まるで、大きな戦争でも起きているかのような数字である。
政府は毎年3月を自殺対策強化月間としてキャンペーンを行っているが、今年度に初めて設定されたキャッチフレーズが、「あなたもGKB47宣言!」。内閣府の資料には次のような説明がなされている。
「ゲートキーパーとは、悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて必要な支援につなげ、見守る人のことです。GKB47のGKBはgatekeeper basicの頭文字をつなげたものであり、専門性の有無にかかわらず、国民1人ひとりがそれぞれの立場でできることから進んで行動を起こしていくこと、47は47都道府県を始め、国民すべてへの取組の広がりを示しています」
しかし、このキャッチコピーは、一見して分かるように人気アイドル・グループ「AKB48」の名前をもじったもので、マスコミの報道も批判的な論調であり、それを知った国民の間からも「ふざけている」との声が、ネット上に次々と上がっている。
そもそも「ゲートキーパー」は特殊な専門用語であり、「ベーシック」にいたっては、英語のbasicに「国民的な広がり(?)」という意味などなく、このキャンペーンのねらいが的確に伝わるとは考えられない。
内閣府の自殺対策推進室は、「今回これだけ話題になり、メディアで取り上げていただいたことは、自殺者をなくすための大きなPRになったのではないか、と考えています」とあるネットメディアの取材に答えている。
自殺対策支援センター「ライフリンク」の清水康之代表は、自身のツイッターでこう批判している。
「即刻自殺対策の看板を降ろした方がいい。遺族の心情や、命を支える活動に日々命懸けで取り組んでいる全国のボランティアや専門家らの思いを踏みにじっても構わないと暗に言ってるわけだから。しかも注目されていると言ったって悪い意味でであって、この一件で自殺対策全体に対する信頼が失墜したらどうするのか。まあまさか推進室もそこまで開き直ることはあり得ないだろう」「(内閣府に)撤回するよう引き続き求めていきます」
自殺の原因は、健康問題に次いで経済的な困窮が多いと言われ、自殺者が3万人を超えるようになったのは、消費税を増税した97年の次の年からだ。本当に自殺者を減らすためならば、野田首相が消費税の増税方針を撤回することが最も効果的だろう。〈宮〉
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