幸福の科学がオウムを壊滅へと導いた 仮谷さん拉致事件を振り返る
2012.01.03
1995年2月にオウム真理教が起こした「仮谷さん拉致事件」で特別手配されていた平田信(まこと)容疑者が1月1日の未明に出頭し、警視庁で取り調べが続いている。
この拉致事件ほど、オウム真理教と幸福の科学の違いを浮き彫りにするものはないので、経緯を記しておきたい。
仮谷さん拉致事件は、目黒公証人役場事務長の仮谷清志さんが連れ去られ、殺害された事件。オウム真理教に入信していた仮谷さんの妹が、目黒公証人役場の土地・建物を教団に布施するよう強要されたため、妹が教団から逃げ出し、仮谷さんが匿っていた。
そこでオウム側は、東京都品川区の公証人役場から出てきた仮谷さんをワゴン車に押し込み、山梨県上九一色村(当時)の教団施設に連れ去ったうえ、麻酔薬を過剰に投与して死亡させた。
オウム真理教は戦後の新宗教のイメージを決定的に悪くした宗教団体であり、ネット上などでは「幸福の科学はオウムと一緒」という書き込みが数多くある。
しかし、幸福の科学は国内に500カ所以上の支部・拠点があり、海外にも約90カ国に信者がいて海外支部も50以上。計1200万人の会員を誇る。
宗教ではなく単なるテロ集団として断罪され、死刑執行を待つだけとなった麻原死刑囚と、国内外から「国師」「ワールド・ティーチャー」として信仰を集める幸福の科学・大川隆法総裁とは、比較のしようもない。
それは、95年2月の仮谷さん拉致事件のときから既に明らかだった。平田容疑者らによる犯行を偶然に目撃した幸福の科学職員が通報したため、警視庁はオウム真理教による犯罪として捜査を開始。加えて幸福の科学の信者たちは、オウムへの強制捜査を訴えて全国でデモを展開した。
その後3月20日に「地下鉄サリン事件」が起こり、警視庁が重い腰を上げて強制捜査を行ったのだった。
警視庁は捜査が一段落した同年9月、拉致事件を目撃し通報した幸福の科学信者に対し、「一連の事件の捜査に対し心温まる激励をされ、全容解明に多大な貢献をされました」「ここに感謝の意を表します」と感謝状を贈っている。
つまり、オウム真理教という犯罪集団を追い込み、壊滅へと導いたのが幸福の科学であって、「幸福の科学はオウムと一緒」というのはまったく根拠がなく、正反対のことを言っているにすぎないのだ。
宗教を語るときに、印象レベルではなく、事実をもって語ってもらいたいものだ。(織)
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