野田首相の意見広告は「社会主義宣言」

2011.12.05

4日付各新聞に政府広報の全面広告が載った。野田首相が「すべての国民の皆さまへ―社会保障と税の一体改革について―」と題して語っている。

野田首相は、このように言っている。

「(日本は)世界最速の高齢化で、年金・医療・介護など必要な社会保障費は毎年1兆円以上も自然に増えていくんです。1万円札を平積みした高さが1万メートル。年間増加分だけで、エレベストよりも高い」

「この国の歳出で増えている部門は、専ら社会保障費なんです」

「どなたにも、社会保障は必要になります。だから、世代を超えて、公平感がある税金で《お互いを支え合う》んです」

「基幹税3つ(法人税、所得税、消費税)の中で、一番景気の動向に左右されないのが、消費税だと思います」

野田首相の政治思想がここに表れているとすれば、はっきり言って「社会主義宣言」であろう。「税金で世代を超えて社会保障をする」という発想が社会主義の発想である。

年間に1兆円もの自然増をする社会保障費を、そのまま増やしていけば、いずれ国家は破綻する。この増加を減らすのではなく、その1兆円分を、国民からの税金で賄おうとすれば、税金はいくら取っても足りなくなる。

本誌最新号の1月号ではっきりと言っているように、「日米欧の財政危機の本質は、福祉国家の終焉」を意味している。アメリカはすでに社会保障費が全歳出の64%を占め、破綻寸前だし、ギリシャはもとより欧州諸国も、そして日本も、「社会保障という“福祉バブル”」が崩壊しかかっているのだ。

これからは、いかに社会保障費を削れるかが、健全財政の指標になっていく。野田首相はそれがわからず、「社会主義のワナ」にみすみす嵌まっている。やるべきは、年金や医療制度の大イノベーションしかない。(仁)

【関連記事】

2012年1月号記事 日米欧トリプル財政赤字は世界を滅ぼすかPart2

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3377

2012年1月号記事 編集長コラム 人口70億人時代の強国モデル

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3380


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