「火星の呪い」? NASAの記者会見
2011.11.30
29日配信のナショナルジオグラフィックニュースに、「ロシアの苦悩、火星探査の呪い」「“火星の呪い”に挑むキュリオシティ」と題する記事が紹介された。本欄でもたびたびご紹介してきた、先ごろ打ち上げられた米露の火星探査機に関するニュースだ。
11月26日に米航空宇宙局(NASA)はフロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地から最新型の火星探査車「キュリオシティ」を無事打ち上げた。火星に向かう軌道に順調に乗り、通信も確立している。
それに対して、9日に打ち上げたロシアの火星探査機「フォボス・グルント」は火星に向かう軌道に乗れず、地球の上空で原因不明の立ち往生、通信が途絶えた。23日に、オーストラリア・パースにある欧州宇宙機関(ESA)、カザフスタンにあるロシア宇宙連邦宇宙局のバイコヌール局が通信に成功したが、その後また信号が途絶えている。本欄では26日落下するのではとお伝えしたが、まだ高度200kmの地球周回軌道を回っている。
ロシア連邦宇宙局(ロスコスモス)長官のウラジーミル・ポポフキン氏は、「探査機の高度が180kmを切った段階で、フォボス・グルントの最後がどうなるか予測を始める。しかし地球に落下する場合でも、大気圏で爆発し、探査機そのものはばらばらになると確信している」(天文ニュース)、「12月上旬までに問題点が修正されない場合、火星遷移軌道に乗るチャンスを全く失うことになる」と語る。また22日には、ロシア連邦宇宙局副長官のビタリー・ダビドフ氏は「今回のミッションが成功する見込みはほとんどない」と、ほぼ絶望視。だが関係者は通信をとらえようと懸命の努力を続けている。
ロシアはこれまでも火星探査ミッションはことごとく失敗している。この半世紀に人類が試みた火星探査ミッションは39回を数えるが、約3分の2は何らかのトラブルに見舞われているという。NASAのプログラムマネージャー、ピーター・サイジンガー氏は10日、記者会見で「まるで火星が邪魔をしているみたいだ。発射から降下、着陸まで気を抜ける瞬間はない。いたるところにリスクが潜んでいる」とコメント。まるで人為的な妨害があるかのように意味深長だ。
実際、火星には生命体が棲息し、さらに人類の火星極秘基地があるという説も本欄で紹介している。そうしたものが、地球から放たれる火星探査を妨害しているということはありえるのだろうか。最近、火星が生物生存に適する惑星であることをあらためて報じたニュースがある。
23日発信のBBCニュースによれば、「エイリアンが最も生存の可能性のある惑星ランキング」を天文学者たちの国際チームが発表。「地球類似性インデックス」では、地球を100%とした場合、火星は地球に70%近い存在で、10位中4位。さらに「惑星居住適性インデックス」という「生命が存在する可能性の高い星」のランキングには、火星は10位中2位で、土星の衛星タイタンについで、住みやすい惑星となっている。
いろいろな意味で、今、「火星」から目が離せない。(ア)
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