中国高速鉄道、不具合は開業前から分かっていた
2011.10.03
2日付朝日新聞によると、40人が死亡した7月23日の高速鉄道事故の2カ月前の5月末に、すでに試運転で深刻な不具合を把握していたという。
同紙によると、鉄道省装備部の劉剛・副主任が、5月30日の内部会議で、建設の遅れや管理体制の不備について矢継ぎ早に報告した。
その「不具合」は、自動列車保護装置が過熱により焼損、緊急ブレーキの不具合、自動ドアの開閉不具合、パンタグラフがショートして落下など、十数項目に及ぶ。さらに問題なのは「検査体制の不備」で、検査要員の半数が現場経験のない新人だった。
しかし、これらの報告にもかかわらず、鉄道省が「見切り発車」して当初予定通り6月30日の開業にこだわったのは、中国共産党にとって最も重要な党創設90周年の7月1日に合わせたかったからだという。党関係者は「安全運行よりも国家や省のメンツを重視して、開業を急いだのだろう」と明かしている。
人の命よりも共産党の行事を優先するというのは、いかにも中国らしい。それにしても、あまりにもズサンな技術と管理体制だ。中国が「世界で一流の技術」と誇って鳴り物入りで発進した「高速鉄道」の、その裏事情がこれほどお粗末とは。
この一事をもってしても、中国が世界2位の「経済大国」になったというのが、見せかけの「張り子の虎」であることが分かる。開業以来46年間無事故(乗客の死亡ゼロ)の日本の新幹線と比べれば、両国の技術力の差がまだどれだけあることか。そして、共産主義、社会主義国家がどれほど人命を軽視しているか。
その「メンツ」と「人命軽視」が他国にも向けられていることを、われわれ日本人も知らねばならない。(仁)
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