「原爆の日」に歩調を合わせる朝日新聞と菅首相
2011.08.07
広島に原爆が落とされてから66年目の8月6日。朝日新聞と菅首相が足並みをそろえるように、「原爆と原発」「広島と福島」をつなぎ合わせて脱原発を訴えた。
6日付朝日新聞の社説は、次のように主張した。
「私たちは、一度に大量の人間を殺害し、長期にわたって被爆者を苦しめてきた核兵器の廃絶を繰り返し訴えてきた。世界各国に広がった原発も、同じ燃料と技術を使い、危険を内包する」「核との共存ではなく、決別への一歩を先頭を切って踏み出すことが、ヒバクの体験を重ねた日本の針路だと考える」。
菅首相も同日、広島市で行われた平和記念式のあいさつでこう述べた。
「エネルギー政策について白紙からの見直しを進めています。原子力の『安全神話』を深く反省し、原発への依存度を引き下げ、『原発に依存しない社会』を目指してまいります」「核兵器による惨禍が二度と繰り返されることのないよう、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に全力で取り組んでいきます」
広島の原爆で命を落とされた方やその遺族、また、現在も後遺症などが残る方々には、心よりのお悔やみとお見舞いを申し上げたい。しかし、一方で考えなければいけないのは、お隣の中国が日本に核ミサイルを向けているという事実であり、日本のエネルギーの3割が原発に支えられているという事実である。
菅首相も朝日新聞も「原爆と原発」をリンクさせて人々の情緒に訴えるが、本気で核兵器の廃絶を望むなら、中国にこそ訴えるべきだ。また、原発の放棄を訴えるなら、日本が火力依存になったときに、石油やガスなどの燃料輸出国で政変が起こったり、燃料が運ばれる海上交通路(シーレーン)を中国海軍が支配したりして、燃料が日本に入って来なくなるリスクについて真剣に考えるべきだ。
「核はこわいから使うのをやめよう」という稚拙な主張で国民の不安を煽り、国難を招いては本末転倒だ。(格)
【参考記事】
8月1日付本欄 菅政権を露骨に擁護する朝日新聞の謎
< http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2541 >
2011年9月号 もし日本の首相に悪魔が取り憑いたら ――編集長コラム
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