病気で辞めた教員の半分、940人が「精神疾患」
2011.07.30
2009年度に病気を理由に退職した、幼稚園から大学・短大までの国公私立学校の教員は1893人いた。そのうちの約半分にあたる940人がうつ病などの精神疾患で辞めており、小学校では97%、中学校では92%が公立校の教員だったことが、文部科学省の調査で分かった。
もちろん、公立と私立の教員数を考慮すれば対等な比較ではないかもしれない。だが、公立の小中学校でこれだけ多くの教員が、心に傷を抱えて辞めていく現状は見過ごせない。
29日付毎日新聞は、退職教員について次のような事例を挙げている。
- 関東地方の公立小の男性教頭は、校長への昇進試験に落ち、うつ病になった。「協力してくれた校長に申し訳ない」と自分を責め、しばらくして退職した。
- 40歳代の公立小男性教諭は、言うことを聞かない児童を強く叱ったことで保護者から「教員失格」と非難され、うつ状態になって退職した。
いずれのケースも本人は真剣に思い悩んだだろう。だが、昇進試験に落ちるとか、顧客のクレームに追われるようなことは、民間企業では日常茶飯事。今回の調査結果を受けて、「モンスターペアレントから教師を守れ」などと、顧客の立場である保護者や生徒に責任を転嫁しては本末転倒である。
本誌6月号の「『日本の教育』経営再建プラン」(※)では、学力の低下が進み、いじめの隠蔽が日常化する多くの公立学校は「倒産状態」にあり、「経営再建」が必要だと論じた。その具体策は、学校選択の自由を認め、集まった生徒数に応じて予算配分するなどの実質的な「公立学校の民営化」だ。教員免許を持たない塾講師や社会経験のある人が教壇に立てるような規制緩和や、民間のマネジメント手法を取り入れた仕事効率のアップなども必要である。
そして何よりも大事なのは、教員一人ひとりが、日教組に代表されるような悪平等・無責任の社会主義的体質から抜け出し、他者との切磋琢磨の中で自己責任と自由な努力による向上・発展を目指すという教育本来のあり方を、自らにも当てはめ、児童生徒に対しても実践することである。(格)
【※関連記事】
2011年6月号 日本の教育経営再建プラン(前編) http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1866
2011年6月号 日本の教育経営再建プラン(後編) http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1917
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