自民党も「脱原発」か 二大政党制の危険性浮き彫り

2011.07.10

自民党の「総合エネルギー政策特命委員会」の会合で、脱原発派の発言が相次いだことを、8日付読売新聞が報じている。菅民主党政権のみならず、自民党までも「脱原発」を言い出す状況は、日本にとって非常に危険である。

記事によると、「脱原発」の急進派である河野太郎衆院議員が「今までの誤りを認め、原発をフェードアウト(消去)させていくと訴えるのが大事」と主張。原発を推し進めてきた従来のエネルギー政策の非を認め、大胆に転換すべきという趣旨だ。特命委幹部も「『脱原発』解散となれば、自民党は苦しい。争点をぼかすためにも、自民党も『脱原発』に前向きだとアピールした方が良い」と指摘したという。

河野氏は「原発を進めてきたのは誤りだった」と言うが、そんなことはない。石油などのエネルギー資源が少ない日本は、1970年代、中東情勢の不安定化によって発生したオイルショックを契機に、原発推進を推し進めた。現在も中東情勢は不安定であり、加えて、資源が運ばれてくる海上交通路(シーレーン)では、中国と東南アジア諸国がにらみ合い、緊張状態が続く。

また、特命委幹部の発言は、国家の存亡に関わるエネルギー問題を選挙のために簡単にくつがえそうという内容で、国家を背負う気概を失いつつある自民党の現状が浮き彫りになっている。

仮に、菅首相が「脱原発解散」を行い、二大政党がいずれも「脱原発」を訴えれば、日本の原発はもう二度と立ち直れなくなるだろう。ここに、国民の多様な価値観が反映されず、国民の政治選択の自由を奪う「二大政党制」の危険性と、大局観を失って目先の世論に振り回される既存政党の限界が表れている。(格)


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