大阪府の私学無償化に伴う経営困難で、柏原市の私立高校が閉校を発表 ─ 「学費が高くても行かせたい」という教育の原点に立ち戻るべき
2025.12.06
《ニュース》
高校授業料の無償化を進める大阪府で、柏原市の私立高校が2029年度に閉校することを発表しました。無償化に伴う経営難が、閉校の決め手となったといいます。
《詳細》
大阪府では24年度から、世帯年収にかかわらず私立を含めて高校授業料を無償化する制度が始まっています。授業料については、国や府が年間63万円まで負担しますが、「保護者負担をゼロにする」ためとして、63万円を超える分は学校側の負担になる「キャップ制」が導入されています。
大阪府の高校無償化に際しては、23年の大阪府知事選で当選した吉村洋文知事が、「年間60万円」を超える分を学校負担とする案を提示。私立高校側は猛反発しましたが、吉村知事は、超過分を保護者負担にすると値上げの「いたちごっこになる」(23年6月30日関西テレビ)との立場を崩さず、協議の結果、国と府の負担を「年間63万円」に増やした経緯があります。
そうした中、東大阪大学柏原高校は11月末、27年以降の生徒募集を停止し、29年度で閉校すると発表しました。同校は男子校で、今年の夏には野球部が甲子園出場で注目されましたが、近年は少子化や共学の人気などにより入学者が減少し、経営が悪化していたといいます。
12月5日付関テレ電子版によれば、「高校授業料無償化」が閉校への決め手の一つになったといいます。定員割れで財源が十分に確保できない上、魅力を増すために設備投資に力を入れたくとも、授業料を値上げするとなれば学校が負担しなければならないため、経営上、圧迫される、という現実が迫っているといいます。
大阪府の無償化制度は学校ごとに「不参加・離脱も可能」ではありますが、生徒募集で不利になるということもあり、参加していない府内の私立高校は1校のみです。
大阪府の授業料無償化制度については、これまでも「設備投資がしにくくなり、教育の質が落ちる」「私学の経営の自由が奪われる」と議論されてきましたが、それが現実のものとなってきています。授業料を引き上げられない代わりに入学金を引き上げる学校も多く、各校の苦境が伺える状況です。
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