放火で男女2人を殺害した男性が「心神喪失」で無罪判決 ─ 司法や医療が見落としている「憑依」の問題
2025.09.18
《ニュース》
共同住宅に放火して男女2人を死亡させた事件をめぐり、札幌地方裁判所は17日、被告の男性に無罪判決を言い渡しました。事件当時、男性が「心神喪失」だったためとしています。
《詳細》
事件は2022年、北海道北広島市で起きました。被告の男性(70歳)は同年9月、自身も居住していた生活困窮者向け共同住宅の自室や廊下に灯油をまいて放火し、入居者の女性(当時51歳)と、運営法人の男性理事長(同71歳)を焼死させたとして起訴されました。
被告は起訴内容を認めており、争点となったのは「責任能力の有無」でした。
被告は事件前から、幻覚や妄想を伴う精神疾患を発症していました。犯行動機も、「理事長と仲間が入居者らを次々と殺害している」という妄想に基づくものだったといいます。
弁護側が精神鑑定を要請した結果、担当医は「合理的思考は困難な状態だった」と診断。弁護側は「男性は当時、心神喪失状態であり、責任能力はなかった」と主張しました。
一方、検察側は「処方薬の影響で妄想が発生していた」「犯行に計画性はない」ことなどを認めつつ、「せん妄(一時的な意識障害)の影響は限定的で、意思決定の自由は残っていた」とし、責任能力はあったと指摘。2人が死亡するという結果は重大で、社会として許容できないとして、懲役30年を求刑していました。
そうした中、札幌地裁は「異常な幻覚・妄想の圧倒的な影響などで、犯行に突き進んでしまった。管理人に対し強い恨みがあったとは認められない」「当時の被告には、善悪を識別して行動をコントロールできる能力(刑事責任能力)が失われていた疑いが残ると言わざるを得ない」と結論づけ、無罪判決を言い渡しました。
男性は最終意見陳述で、「妄想か現実かわからないまま火災を起こし、尊い命を失わせてしまったことを心から反省している」と述べていました。判決を言い渡された直後には、「おかしい、2人の命を奪っているんですよ」と訴え、涙を流しながらその場に座り込んだといいます。
刑法39条では「心神喪失者は罰しない」と定められていますが、このような判決が下されるたび、「殺人を犯しても無罪になるのはおかしい」といった声が相次ぎ、法律自体の妥当性が問題視されます。
今回の場合、検察側も「妄想が発生していた」ことを認めているように、被告の男性が事件当時、精神的に異常な状態だった可能性はあるでしょう。ただ、「霊的観点」から見れば、たとえ心神喪失状態だったとしても、「責任能力がない」とは言えない真実が浮かび上がってきます。
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