霊的世界観と人生の教訓に満ちた鬼退治映画 ─ 劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来

2025.08.03

画像:beeboys - stock.adobe.com

全国公開中

《本記事のポイント》

  • 登場人物を鼓舞する霊的存在からのメッセージ
  • 地獄の苦しみの中でこそ分かる反省と感謝の大切さ

集英社「週刊少年ジャンプ」で連載された吾峠呼世晴のコミックを原作とする大ヒットアニメ「鬼滅の刃」シリーズのクライマックスとなる「無限城編」3部作の第1章。

鬼になってしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人間に戻すため、鬼狩りの組織・鬼殺隊に入った竈門炭治郎は、同期の仲間である我妻善逸や嘴平伊之助とともに数々の鬼と戦いながら成長し絆を深めていく。

その後、来たる悪鬼との決戦に備えて、柱による合同強化訓練・柱稽古に挑んでいる最中、鬼殺隊の本部である産屋敷邸に悪鬼の首領である鬼舞辻無惨が姿を現す。お館様の危機に駆けつけた炭治郎や柱たちは無惨によって謎の空間へと落とされ、鬼の根城である無限城での最終決戦に身を投じていく。

登場人物を鼓舞する霊的存在からのメッセージ

この作品のユニークな点は、「あの世の世界」と、「天国や地獄で生活する霊的存在となった人々」が、当然の前提とされていることである。主人公の炭治郎を始め、胡蝶しのぶや善逸、そして敵側の猗窩座(あかざ)など、今回の主要登場人物のほとんどが、自らと縁のある故人から霊的メッセージを受け取り、運命を拓く力としている。

もともと物語の冒頭から、炭治郎が修行の途中で錆兎(さびと)という霊人からアドバイスを受けることが、試練を乗り越え精神的な成長を果たすきっかけとなっていた。「鬼滅の刃」にとって、霊的世界の存在は極めて重要な構成要素だ。

こうした霊的世界との交流について、大川隆法・幸福の科学総裁は著書『復活の法』の中で「向こうの人は、この世の人と話をしたくてしかたがない」とした上で、「ときどき霊の声が聞こえたり霊の姿が見えたりする人も、一定のパーセンテージでいますが、これは、『率的に、この程度は、いたほうがよいだろう』という範囲で許された人たちでしょう。

いつの時代も、あの世の存在がまったく分からなくはならないように、何か手掛かりは出してあります。『必ず、何かきっかけがあるようにはしている。ただ、完全には分からないようにしている。それで、信ずる者は、それを受け入れる』というかたちになっているのです」と指摘している。

映画の冒頭シーンは、歴代鬼殺隊士のものと思われる広大な墓地から始まっていたが、学校でも会社でも教えない「霊的世界観」を土台としたこの物語は、人生の真実を知る手がかりとしても、貴重なものだと言えるだろう。

こうした霊的世界からの導きが遺憾なく発揮されているのが、上弦の弍・童磨という悪鬼と蟲柱・胡蝶しのぶとの戦いだ。

胡蝶しのぶは、肺と鎖骨を切られ、瀕死の重傷を負い、立ち上がることすらできないところまで追い詰められる。

そこに、今は亡き姉・胡蝶カナエの霊が現れるのだ。

カナエは、力尽きかけたしのぶを叱咤激励する。

「しっかりしなさい。泣くことは許しません。立ちなさい。倒すと決めたら倒しなさい。どんな犠牲を払ってでも勝つ。しのぶちゃんなら、ちゃんとやれる。頑張って」

姉・カナエの厳しい励ましを受けて、胡蝶しのぶは渾身の力を振り絞り、決死の一撃を食わせるのだ。

公開霊言である『天御親神 武士道を語る』の中で、武士道精神の源流とされる天御祖神(あめのみおやがみ)は、武士道の根本として「自らの生死を考える」ことを挙げ、「人生の一大事においては、この世に命生き長らえるよりも大切なことあらば、その身を捨てて、その大切なもののために、この世での命を捨てることも惜しまない。それだけの勇気と胆力を持ちなさい」と語っている。

映画のクライマックスでも、炭治郎が亡き父からの霊指導を受け、「無我の境地」に入ることで、悪鬼・猗窩座の首を切り落としていた。正義の剣に生きる者の不屈の闘志と勇気が、見る者の心を揺さぶらずにはいられない。

地獄の苦しみの中でこそ分かる反省と感謝の大切さ

この作品のもう一つの魅力は、悪鬼たちが敗北をきっかけとして改めて自らの人生を振り返り、その過ちを認め自ら地獄へ赴くという、悪なる存在にも注がれるある種の"慈しみの眼差し"だろう。

炭治郎が「無我の境地」から繰り出したヒノカミ神楽をきっかけに、悪鬼・猗窩座は封印していた人間時代の記憶を取り戻す。

病弱な父を、身を粉にして看病しながら救えなかったこと。その後、空手道場主に拾われ、弟子となり、その娘の看病を通じて結婚の約束までしながら、再び救えなかったこと。冷酷な世の中への恨みから、悪鬼へと堕ちていった経緯がフラッシュバックされていく。

その最中、猗窩座の亡き父や師匠、許婚の霊が次々と現れ、復讐心に燃える猗窩座に対して、「もう充分だよ」と口々に語りかけていく。

怒りと闘争心で頑なにだった猗窩座の心に光が差し込むが如く、天国にいる霊人たちからのねぎらいが降り注ぐ。ついに猗窩座は初心に帰って「救えなくてごめんよ」と泣きじゃくりながら、悪鬼の首領・鬼舞辻無惨の制止を振り切って、自ら地獄へ赴いていくのだ。

地獄の試錬の中で、反省と感謝が支えとなることを知れ。」(『人格をつくる言葉』より)

人々の平穏な暮らしを守るため、悪鬼との戦いに決死の覚悟で臨む者たちを描いた本作は、随所に盛り込まれた珠玉の人生教訓とともに、改めて「人生を力強く生き抜くために必要なものとは何か」を考えるきっかけともなるだろう。

 

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』

【公開日】
全国公開中
【スタッフ】
監督:外崎春雄
【原作】
原作:吾峠呼世晴
【キャスト】
出演:花江夏樹ほか
【配給等】
配給:東宝、アニプレックス
【その他】
2025年製作 | 155分 | 日本

公式サイト https://kimetsu.com/anime/mugenjyohen_movie/

【関連書籍】

いずれも 大川隆法著 幸福の科学出版


タグ: 霊的世界  吾峠呼世晴  鬼退治  胡蝶しのぶ  最終決戦  天御親神  地獄  無限城編  武士道精神    鬼滅の刃 

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