習主席の「反習派」への反撃と主席による習ファミリーへの粛清【澁谷司──中国包囲網の現在地】

2024.11.16

アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師

澁谷 司

(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。

中国専門家によると、軍が今年10月30日と31日に発表した2つの文書が、習近平主席と張又侠(ちょう・ゆうきょう)・中央軍事委員会副主席の間で"一触即発"の危機を示しているという(*1)。

(*1) 2024年11月1日付『万維ビデオ』

"習氏無視"文書 vs. "習氏礼賛"文書

一つは張又侠が牛耳る中央軍事委員会弁公庁が30日に発表した「強軍文化の繁栄発展実施要綱」(以下、「要綱」)で、その内容は5段落からなっている。驚くべきことにそこには、習主席の名前がまったく出てこない。一部の評論家から、これは近い将来、北京で党内闘争が起こる兆しであるとの声が聞かれる。

一方で翌31日、習主席は「習近平の軍隊強化思想」とともに、「予備役管理暫定規定」(以下、「規定」)の発布命令に署名した。

1日違いで発表された2つの文書から、習主席と張又侠の不和は"衝突寸前"状態であることが伺える。米国の政治評論家・陳破空氏は、この2文書は両者の鋭い対立を示唆し、闘争激化の象徴だと分析した。

張又侠は中央軍事委員会弁公庁のトップを務めるが、同委員会の日常業務も取り仕切っている。この「要綱」を出したのは、総政治部部長の苗華(びょう・か)だろう。陳破空氏によれば、張又侠も苗華も今や習主席の"敵対者"となった。

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タグ: 中国包囲網の現在地  澁谷司  逮捕  キャンペーン  張又侠  習近平  腐敗  粛清  中央軍事委員会 

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