TPP参加判断先送りで出遅れる日本
2011.05.18
政府は17日、東日本大震災を受けて経済政策の優先順位を見直す「政策推進指針」を閣議決定した。
原発事故の教訓からエネルギー政策の抜本的な見直しや、消費税上げを含む社会保障・税一体改革、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加判断の先送りなどが盛り込まれた。
TPPへの参加判断は、参加の是非をめぐって意見が分かれており、当初の6月から「11月には日本の態度を決めないといけない」(与謝野馨経済財政担当相)と先送りした。
11月は、参加表明9カ国がアジア太平洋経済協力会議(APEC)で交渉の大筋の決着を目指している月だ。この9カ国ではすでにルール作りが始まっており、関税の「前面撤廃」を主張する国と「一部例外扱い」を主張する国との間で利害がぶつかってはいるものの、会合を重ねて交渉を進めている。
19日からも3日間会合が開かれる予定だ。だが、日本は参加を表明していないため、この会合には参加できず、すでに出遅れている。11月に参加表明するころには、ほぼルールが決まっており、それを丸飲みするしかないだろう。
TPP参加によって関税が撤廃されれば、安い農産物の輸入が拡大する可能性が高く、農業が大きな損失を受けると参加に反対する声もあるが、参加しなければ、対米輸出において関税ゼロの国に太刀打ちできなくなる。農業において必要なのは、むしろ自由化によって国際競争力を高めることだ。
また、参加によって、参加国へ安く輸出できるようになり、関連産業への投資拡大も見込めるし、輸入品も安く買える。一刻も早いTPP参加の決断が求められる。(吉)
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