銭湯の売上を二倍にした経営者に聞く──心を開く「聴くパワー」

2022.02.14

「言いたいことが伝わらない」「相手の反応が冷たい」など、コミュニケーションで苦労したことはないだろうか。そんな時に鍵を握るのは、話を聴くことによる、相手の心を開くパワーだ。銭湯に来るお客様との会話を通してリピーターを増やすことに成功した日の出湯の取締役・田村祐一氏に、また会いたいと思ってもらえる会話のコツを聴いた(2015年7月号記事より再掲。内容や肩書きなどは当時のもの)。

◆ ◆ ◆

「お客様の幸せは何か」を知るために聴いています

有限会社 日の出湯 取締役
銭湯の未来を創るWEBマガジン[SAVE THE銭湯]編集長

田村 祐一

(たむら・ゆういち)1980年生まれ。東京蒲田にある銭湯「大田黒湯温泉第二日の出湯」の跡取りとして育つ。大学卒業後、有限会社日の出湯に就職し、26歳で取締役に就任。2012年、元浅草日の出湯の12代目に就任し、1年で経営を立て直す。著書に、『常連さんが増える会話のコツ』(プレジデント社)がある。

親から銭湯の経営を引き継いで、半年で、来店者数が5割増加し、売り上げも2倍になりました。若い私にできたことと言えば、お客様に心地よさを感じていただくために、意識して話を聴くことでした。その姿勢が好感を生んで、お客様の増加につながったのだと思います。

年齢に関係なく誰からも学ぶ

銭湯に来られるお客様は年配の方が多いのですが、皆さん人生の大先輩。分からないことは素直に教えていただくことが大事です。実は、平家物語が話題に出た時、知ったかぶりをしたことがあります。会話が進み、実はあまり知らないと伝えると、相手は少し残念そうでした。最初から「教えてください」とお願いしていれば、お客様も気持ちよく話してくださり、私の学びにもなったのにと反省しました。

若いお客様も、私にない視点を持っているので、「何が流行っているの」などと聴いて、いろいろなことを教えてもらいます。若い人の考え方や感性に感化されることは勉強になり、「この子が大人になったら立派になるだろうな」などと相手への敬意もわいてきます。年齢に関係なく、相手から学ぼうとする姿勢が大事だと思います。

クレームを「ありがたい」と受け取るマインド

クレームを言われた時、こちらが「嫌だな」と思うと、お客様に伝わってしまいます。しかし、クレームというのは、本当はありがたいものです。

例えば最近、端午の節句で菖蒲湯を行ったのですが、「菖蒲の匂いが全然しない」とがっかりされた方がいました。それがきっかけで調べると、根元を潰すと香りが出ると分かり、おかげで来年の菖蒲湯に備えることができました。

自分にとってマイナスの言葉も、裏返せばプラスになるので、プラスの面を見続けるマインドを保つようにしています。

仕事とは幸せを提供すること

どんな商売であっても、突き詰めれば「幸せ」を扱っているのだと思います。幸せを提供することが、結局は売り上げの増加にもつながると考えています。

一人ひとり、幸せに感じるものは異なるので、それを知るためにも、お客様の話を聴くようにしています。例えば、「年配の方は孫が好きだ」と思い込んで話をしても、各家庭の事情は違うので、お孫さんの話が歓迎されるとは限りません。思い込みや決めつけを捨てて、相手の関心を知ろうとすることが、「話を聴く」姿勢につながるのではないでしょうか。(談)

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【関連記事】

2015年7月号 人の心を開く 聴くパワー

https://the-liberty.com/article/9655/


タグ: 経営者  銭湯  著名知識人  聴くパワー  田村祐一  心を開く  売り上げ  クレーム 

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