リンカーンはビンラディンの死を祝うか

2011.05.08

ビンラディン殺害のニュースに浮かれ騒ぐ米国民一般のムードに対し、「そんな振る舞いはアメリカの精神に反する」という勇気ある意見が2日付の米紙クリスチャン・サイエンス・モニターに出た。筆者はニューヨーク大学で歴史と教育を教えるジョナサン・ツィンマーマン。以下、概要。

  • ビンラディン殺害のニュースを聞いて多くの米国民は通りに繰り出し、スポーツで応援しているチームが勝った時のように歌って騒いだ。だがこんな光景は何かが根本的におかしい。人の死を祝えば、たとえそれがビンラディンのような邪悪な人間の死でも、私たちの中にある最悪の衝動がのさばり、リンカーン大統領の言う「本来私たちの中に住んでいる優れた天使たち(the better angels of our nature)」が敗れ去ってしまう。

  • 自分もビンラディンの死には安堵を覚えているし、復讐心が自然な感情であることは認める。だが、自然な感情なら善いものだとは限らない。聖書も米国の偉大な政治指導者たちも、復讐という暗い欲求を満たせば将来世代に禍根を残すと警告している。むしろ、自らの復讐心に打ち克つことこそ最も人間的な行為なのだ。

  • 9.11でワールド・トレード・センターが崩れたときパレスチナ人たちは踊り騒いだが、昨日のアメリカ人はそれと同じことをやったのだ。我々はビンラディンの死に際し、自分たちが得たものと失ったもの、今からやるべきことを真面目に反省するべきだ。さもなくば、私たちの中の善なる天使も米国の偉大な理想も傷つく。

筆者はさらに「敵が倒れても喜ぶなかれ」(箴言)「復讐するは我(=神)にあり(つまり人間は復讐すべきではない)」(ローマ人への手紙)など聖書の言葉を引用。リンカーンの「誰に対しても悪意を抱かない」(malice toward none)という言葉や「(南北戦争の北軍も南軍も)同じ聖書を読み、同じ神に祈っている」との言葉も引いている。

「復讐するは我にあり」とは民族神が敵対民族を滅ぼすという旧約聖書の思想であり、幸福の科学が奉ずる普遍的な地球神は人間を愛しこそすれ復讐などしない。さらに、新約聖書の父なる神とコーランのアッラーの本質は同一の地球神エル・カンターレであり、米国人とイスラム教徒は「同じ神」に祈りつつ人間心で争っているというのが真相だ。地球神の教えである「愛と慈悲」が広まることこそ、宗教に基づく争いを終わらせる根本策である。(司)

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