人命より自らの延命が大事な政権は「吹っ飛んで」いい
2011.05.06
5日付毎日新聞の1面トップ記事には思わず目を疑った。
記事によれば、東日本大震災から3日後の3月14日未明、東京電力は菅首相に、福島第一、第二原発の事故により電力供給量が不足し、同日の午前中に計画停電せざるを得ないと報告した。複数の政府高官によると、このとき枝野幸男官房長官は「せめて14日午前中だけでもやめてくれ」と詰め寄り、譲らなかったという。以下、引用。
「枝野長官が譲らなかったのは、大塚耕平副厚生労働相らから13日夜、『病院や在宅患者宅に緊急の電源を確保するよう徹夜で連絡しても、14日朝には間に合わない』と報告を受けていたからだ。『死者が出れば政権が吹っ飛ぶ』との声が政権内に上がった。枝野長官は『大口事業者に泣きついてでもやめるんだ』と重ねて迫った」(引用、以上)
結局、14日午前中の停電は避けられたが、「死者が出れば政権が吹っ飛ぶ」との言葉は聞き捨てならない。これは、停電で医療機器が使えず病人が命を落とすことより、その責任を問われて自分たちが政権を失うことのほうを心配している本音が出た言い方であり、「政権が吹っ飛んではまずいから死者を出すな」というわけ。つまり、この言葉を吐いた人物の頭の中では国民の命が政権維持のための手段になっているのだ。恐るべき本末転倒である。
政権は、国民の生命・財産・安全を守るためにある。もし逆に、「国民の生命・財産・安全は政権を守るためにある」という北朝鮮の独裁政権のような考えなら、そんな政権はまさに一日も早く「吹っ飛ば」なければならない。各種の世論調査が示す通り、菅首相と民主党政権に対する国民の信頼はとっくに吹っ飛んでいる。形骸化した現政権そのものの崩壊も、時間の問題だろう。(司)
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