錬金術の歴史を振り返る-中世ヨーロッパの錬金術III- (後編)【HSU・志波光晴氏の連載「錬金術について」】

2020.12.21

5.「象形寓意の書」の錬金術

「象形寓意の書」は、その緒言において錬金術との出会いの背景を詳しく語り、その本章において8つの寓意図を用いて錬金術の内容を説明しています(※4)。それらの寓意図による錬金術の表現は、神秘思想の一部であるカバラ主義の影響だとされています。ニコラ・フラメルは、自身が入手した「アブラハムの書」の解読を「象形寓意の書」のなかで詳細に記したと述べており、かなり具体的な手順が明らかにされています。

そのエッセンスは錬金術の定石である、

  • (1)今日「触媒」といわれる機能を持つ「賢者の石」の作り方と、
  • (2)それを用いた化学反応を行うことで、卑金属を貴金属に変えるといった「原子核変換」を今日知られている高エネルギーではなく低エネルギーで行う方法

に要約できます(※5)。

【参考文献】
4) アンドレ―ア・アロマティコ、「錬金術」、第1版13刷、2012、創元社、p46-69。
5) 草野 巧、「図解錬金術」、6版、新紀元社、2017、p94-95。

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タグ: ニコラ・フラメル  志波光晴  錬金術について  象形寓意の書  沈黙の書  賢者の石 

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