迫勝則氏による新刊『マツダ最強論』 100周年を迎えるマツダの「ブランド力」とは【書評】
2020.01.24
写真:KULLAPONG PARCHERAT / Shutterstock.com
迫 勝則
プロフィール
(さこ・かつのり) 1946年、広島市生まれ。山口大学経済学部を卒業後、東洋工業(現・マツダ)に入社。2001年に退社し、広島国際学院大学で教鞭を執る。現在、テレビ番組「Eタウン・SPORTS」(RCC)でコメンテーターを務める。『カープを蘇らせた男 球団オーナーのどえらい着想力』『カープの美学』『さらば、愛しきマツダ』など著書多数。
迫勝則著
溪水社
本誌2019年6月号で取材した『カープを蘇らせた男 球団オーナーのどえらい着想力』の著者・迫勝則氏が、このほど『マツダ最強論』を発刊した。
迫氏は、「飛翔する翼」を象ったマツダのブランドシンボルの制作責任者を務めるなど、同社のブランド戦略を担った人物。新刊では、広島で誕生した東洋コルク工業(現・マツダ)が、原爆の悲劇を乗り越えながらも、技術力や独自性というブランドを守り続け、「世界のマツダ」へと成長していった経緯が描かれている。
特に、一度は米フォードの傘下に入ったものの、そこから学ぶべきものを学びつつ、自社の強みを手放さなかったというのは印象的だ。
迫氏は、フォードの傘下に入ったことにより、マツダは「徹底した合理主義」や全社で問題解決にあたる「公開主義」、事なかれ主義を脱する「ディベート主義」を学んだと記している。
マツダが逆境の中でも自社のブランドを"捨てなかった"ことが、その後の躍進につながっているのだろう。
マツダ社員一人ひとりの「世に出す商品すべてにおいて『世界一』を目指す」という心意気が伝わってくるようだ。創立100周年を迎える同社の、誇りと志が込められた一書。
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