魅力を失ったアルカイダ
2011.03.02
3月1日付ニューヨーク・タイムズ紙が、中東アラブの民主化運動で無視されたアルカイダが岐路にたっていると論じている。
アルカイダは民主主義にそもそも反対であるし、アイマン・ザワヒリはムバラクの退陣を求めて20年間も戦ってきた。しかしそれを実現したのは民主化運動を起こした民衆であって、アルカイダではなかった。
CIAで30年間にわたって中東とテロの問題に携わり、現在ジョージ・タウン大学の教授であるPaul R. Pillar氏は、「現在までの進展を見る限り、民主化運動はテロリストにとって、悪いニュースです。不満を平和裡に表明するルートがあるほど、暴力に訴えなくなるものだからです」。
米外交問題評議会のSteven Simon氏も、もちろん中東民主化の混乱が、アルカイダ組織にとって好都合な状況を作り出すかもしれないが、全体として中東アラブの動きは、ジハード主義にとって戦略的な敗北であるという。若者たちがアルカイダのイデオロギーに興味を示さなくなったことを示しているからだ。
しかしアルカイダが不透明な先行きに直面しているとしても、米国政府も同じ状況にある。ライス元国務長官がテロリズムにたいする強力な協力者であるとたたえたリビアも過去の話になった。
1989年から1991年にかけて共産主義政権が崩壊したときと同様、一切の前提が変わった中で、米国は中東地域とどうかかわっていくべきか、根本的に検討しなければならない時期にある。(HC)
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