税と社会保障の一体改革は危険である
2011.02.24
菅首相が呪文のように繰り返す「税と社会保障の一体改革」は、本当に日本をよくする政策なのか? 慶応大学教授の竹中平蔵氏は明確にノーを唱え、「日本経済に決定的なダメージを与えかねない」「危険な政策」だと言い切っている。23日付け産経新聞「正論」欄から抜粋・要約して紹介する(カッコ内は編集部コメント)。
・本来必要なのは税・社会保障の一体改革ではなく「経済・財政の一体改革」だ。税と社会保障は財政の一部分でしかない(つまり木を見て森を見ない政策である)。
・財政健全化の王道は、増税ではなく、経済(景気など)をよくすることである。1997年以降のデータが示すように、いくら消費税を増税しても、マクロの成長とデフレ克服がないかぎり税収は低下する(つまり効果がない)。
・社会保障の予算は、医療における規制緩和などによって削れる部分も多い。しかし、大きな政府を容認する現政権の議論はこうした点を無視して、まず社会保障の財源確保ありきで進んでいる(つまり、増税したい財務省だけでなく、予算と権限を減らしたくない厚生労働省にとっても思うツボ)。
・マクロ経済の大幅改善と歳出削減なくして社会保障費などを消費税増税で賄おうとすれば、北欧を超える「重税国家」になってしまう。国民が不安なのは「年金がもらえるか」より「日々の消費税はどこまで上がるのか」だ。デフレと低成長を放置し、将来の消費税率についての展望がないまま消費税を上げれば、日本経済は決定的に悪くなってしまう。今が大きな分かれ道だ(つまり、国民の本当の不安に答えていない)。
決定的におかしいのは、竹中教授も指摘するように「増税ありき」の政策論議になっていること。メディアを中心に「増税しない、こんなやり方もある」という議論を起こし、両者のメリット・デメリットを冷静に比較すべきである。本誌は基本的に「新たな成長戦略を立てて景気をよくすれば税収が増えるので、増税は必要ない」との立場をとっている。(司)
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