「北方領土の日」に襟を正す

2011.02.08

2月7日は「北方領土の日」。これは北方領土問題について国民の理解と関心を深め、返還要求運動を盛り上げようと、昭和 56年に日本政府が定めたもの。1855年のこの日、日露間で「日魯通好条約」が調印され、北方領土が日本領土と確定した。しかしロシアは同島の不法占拠を続け、最近は民主党政権の対応の甘さに付け込んで実効支配を強めている。今年の同日、政府は大手新聞数紙に全面広告を打ち、北方領土問題への関心を喚起した。

昨年 11月にメドベージェフ大統領が国後島を訪問し、今月4日にはセルジュコフ国防相が択捉島など3島を訪問。菅首相は遺憾を表明したが、ロシア政府は怯む様子もなく、北方四島での経済開発と軍事整備を重要課題として取り組むよう、関係省庁に指示している。

またロシア政府は対日関係を「新しいレベルの戦略的な協力関係に引き上げる」とし、北方領土での日露共同経済開発を提案。前原外相は問題解決のきっかけになるとの淡い期待を示すが、ロシアの実効支配を後押しする懸念が大きい。ロシアは中国・韓国の企業に対しても北方領土開発への投資を働きかけており、同じく日本との間で領土問題を抱える両国と共闘することで、日本を不利な立場に追い込もうとする意図が見える。

米国の関心が中東やアフリカの問題に集中する今、政治的・軍事的空白をつかれぬよう、日本国民はこの日の持つ意味を改めて考え、国を守る気概と実力を持たなくてはならない。(由)

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