「負担した税が自分に戻る」と言うが…

2011.02.06

5日付け日本経済新聞に、消費税に関する与謝野経済財政担当相のインタビューが載っている。与謝野氏は、自著では消費税を10%に引き上げるべきだと主張してきたが、このインタビューでは増税論は明言を避けている。そのかわり、消費税の使い道を社会保障関連の支出に限る「福祉目的税化」を徹底すべきだとしている。

消費税は高齢者医療、介護、基礎年金という「高齢者3経費」の財源に充てることが予算総則で決まっているが、実際にはほかの税と一緒に管理しており、使途が透明化されていない。与謝野氏は、「自分が負担した税が、自分に戻る確信を持ってもらわないと、税制改革は難しい」と強調したという。

税金の使い道が透明になるのはいい。だが、「自分が負担した税が自分に戻る確信が大事」というのは、シンプルに考えてみるとこんな疑問が湧く。「納めた税金が自分に戻ってくるなら、そもそもなぜ、わざわざ納めるのか。集めてまた戻す手間だけムダであり、最初から集めないほうがいいのではないか」と。

実際、税金も社会保険料も、集めて管理して再分配する仕事をする公務員が多数いて莫大なコストがかかっている。「納めた分は戻ってきます」と言うぐらいなら、その税金を取る仕事自体を体系的に廃棄したほうが、どれだけコスト減になるか。それもあって、本誌は高齢者福祉のコストに関し、「自分の老後は自分で面倒を見る」スタイルを基本とし、社会的弱者に対してのみ最低限の公的セーフティーネットと善意の寄付、宗教的な助け合いなどによって支えるべきと考える。(T)

【関連記事】「年金問題の根本解決」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=803

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