トランプ政権の閣僚級ポストに女性2人 不動産王の人物眼とは?
2016.11.27
ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領の新政権の人事が連日ニュースになっている。トランプ氏はこのほど、主要ポストに女性2人を据えることを発表した。
1人は、サウスカロライナ州知事でインド移民2世のニッキー・ヘイリー氏。国連大使に指名された。もう1人は、ミシガン州の共和党委員長も務めた米国児童連盟委員長のベッツィー・デボス氏で、教育長官に指名された。
これまでトランプ氏が指名してきた閣僚は、白人男性が多かった。今回、女性を主要ポストに指名したが、実はこの2人の女性は、積極的なトランプ氏の支持者ではなかった。
元々、共和党の大統領候補だったマルコ・ルビオ下院議員を支持していたヘイリー氏は、トランプ氏の移民政策などを「差別的」と強く批判していた。デボス氏も「トランプ氏は共和党を代表していない」と主張していた。
トランプ氏は、こうした女性を閣僚に据えることで、器の広さや、女性やマイノリティ層を重視する姿勢を示しているようだ。
また25日にも、新たに女性の登用が発表された。国家安全保障問題担当の大統領副補佐官に、FOXニュースのコメンテーターを務める保守派の女性評論家、キャスリーン・マクファーランド氏を、大統領顧問には、女性弁護士のドナルド・マクガーン氏を指名するという。
主要ポストに就く2人の女性はこんな人
今回主要ポストに指名された2人について、詳しく見てみよう。
国連大使に指名されたヘイリー氏は、保守系市民団体「ティーパーティー」やマイノリティを中心に支持を集める。両親がインドからの移民で、元々インド発祥のシーク教徒だったが、後にキリスト教プロテスタントの一派のメソジストに改宗した。2010年、女性かつマイノリティとして初めて、サウスカロライナ州知事となり、2014年に再選を果たした。
共和党のホープとされるヘイリー氏だが、外交経験はほとんどなく、その外交手腕は未知数。トランプ氏は、「交渉をまとめた実績があり、これからも交渉をたくさん成功させるだろう」との理由から抜擢した。
一方、教育長官に指名されたデボス氏は、典型的な保守派の女性。画一的な公教育を否定し、保護者や教育者が公費で自主運営する「チャータースクール」の支持者だ。また、デボス氏の夫は、生活用品の販売会社「アムウェイ」の相続人で、資産総額51億ドルの大富豪。共和党への有力な献金者でもある。
トランプ氏は、「デボス氏は優秀で情熱的な教育の主張者」と指名理由を説明。デボス氏は、指名を「名誉なこと」としつつ、「次期大統領とともに働くことで、アメリカの全ての生徒が自分の潜在能力を伸ばす機会を持てるよう、変革をもたらすことができる」と述べている。
「いちばんの適任者を折衝役にあてる」
これまでトランプ氏は、女性への蔑視発言を行ったとして批判を受けてきた。今回の女性の登用も、その批判をかわすためだと見えないこともない。
ただ、トランプ氏は、ニューヨークを中心に一流の不動産を建設し、巨万の富を築いてきた。これは、人物眼がなければ、決して成し得ないことだ。トランプ氏は著書『でっかく考えて、でっかく儲けろ』で次のように指摘している。
「自分自身で交渉をする場合でも、誰かに交渉を任せる場合でも、いちばんの適任者を折衝役に当てる必要がある。目的が10億ドルの不動産開発であろうと、中古車の売買であろうと、国際軍縮条約の締結であろうと、この原則に変わりはない」
「強調しておきたいのは、わたしが優秀な人材を会社に雇い入れ、社内で大事に育てているという事実だ。長い間に積み上げられてきた経験は、私の人を見る目を磨き上げてくれた。(中略)偉大なリーダーになれるかどうかは、自分の権限をうまく委任できるかにかかっている」
海千山千の実業家の中で生き抜いてきたトランプ氏が、能力の低い女性を登用するとは考えづらい。トランプ政権には「いちばんの適任者」をそろえ、アメリカが再び偉大な国に返り咲き、世界の平和と繁栄をけん引することを期待したい。
(山本泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『トランプ新大統領で世界はこう動く』 大川隆法著
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