サイエンスの立場、行政の立場(3)物理学者・早野龍五(はやのりゅうご)氏に聞く
2016.04.05
早野龍五
プロフィール
(はやの・りゅうご)東京大学大学院理学研究科教授。物理学者。世界最大の素粒子加速器を擁するスイスのCERN(欧州合同原子核研究機関)を拠点に、反陽子ヘリウム原子と反水素原子の研究を行う一方、2011年3月以来、福島第一原子力発電所事故に関して、自身のTwitterから現状分析と情報発信をおこなう。
福島で原発事故が起こって早5年。今も約10万人が避難生活を送っています。しかし、福島は放射線を恐れなければならないレベルにあるのでしょうか。
リバティ4月号の特集「福島で怖いのは放射線ではなく糖尿病」では、福島の放射線量について様々な測定や調査を行ってきた物理学者の早野龍五・東京大学大学院理学研究科教授に話を聴きました。誌幅の関係で掲載できなかった内容について、3回にわたって紹介します。今回で最終回です。
放射線量は自然に減っていく
――各地で除染作業をやっていますが、本当に必要なのかという声もあれば、きっちりやってほしいという意見もあります。ただ、除染はどうしてもお金もかかるし、時間もかかることですが、科学者のお立場でどうお考えでしょうか。
早野龍五氏: 福島県内の外部被ばくの調査で、「1ミリシーベルト以下の人数が増えている」とお話しましたが、それは、除染の効果だけではなくて、放射線量が自然に減った効果も大きいんです。
福島の外部被ばくに影響していたのは、主に、セシウム134という、半減期2年の成分でした。事故から5年経ったので、半減期を2回経て、今ではだいたい5分の1くらいに減っています。あとは、雨で流されたり、道路などで車が走って削られたりしていて、人為的なことをしなくても、割と線量が下がったことが大きいと思います。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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