《本記事のポイント》
- 逮捕された中国企業幹部らの不思議な経歴
- 「日中友好協会」設立者や、沖縄の市議会議員!?
- 問題企業は中国国有企業の傘下だった
2019年12月25日、東京地検特捜部は自民党衆院議員(東京15区)の秋元司容疑者(48歳)を、IR(統合型リゾート)誘致をめぐる収賄容疑で逮捕。今月14日には、さらに賄賂をもらっていたとして再逮捕している。賄賂の合計額は約730万円となった。現職国会議員の逮捕は、2010年1月の石川知裕衆院議員以来、約10年ぶりである。
逮捕された中国企業幹部らの不思議な経歴
また同特捜部は、贈賄容疑で中国企業「500ドットコム」日本法人元役員ら3人を逮捕した。
「500ドットコム」は本社が広東省深センで、インターネット上でのゲームやスポーツくじ等の事業を展開している。2017年7月には日本法人を設立した(「500ドットコムジャパン」)。
逮捕されたのは同法人の元役員、鄭希ことジェン・シー(37歳)及び同社元顧問、紺野昌彦(48歳)と同、仲里勝憲(47歳)である。
彼らの経歴が、なかなか興味深い。
鄭希容疑者は、中国東北部出身にして、日本で"活躍"するエリートだった。
「500ドットコムジャパン」の元副社長で、高校卒業後、信州大学経済学部へ留学している。その後、東京大学大学院へ進学した。
大学院修了後、三菱商事、リクルート、メタップスを経て、2019年には17(イチナナ)Media Japan(日本No.1ライブ配信アプリ「17 Live<イチナナライブ>」を運営)の常務執行役員COOに就任した。なかなかの華麗なる経歴の持ち主である。
そして、沖縄在住の紺野昌彦(兵庫県出身)容疑者は、真相の程は分からないが、現職のある参議院議員の"隠し子"だという噂もある。また、2008年には、拳銃を所持していたため、沖縄県警に逮捕され、服役したことがある。
さらに2017年2月、紺野容疑者は一般社団法人「沖縄県日中友好協会」を設立した。その設立祝賀会には、中国側から程永華大使(当時)や総領事など幹部クラスの外交官が参加している。
また、仲里勝憲容疑者は沖縄県浦添市の市議会議員を務めたことがある。
後半二人の経歴は、ただのビジネスマンというよりも、いささか"政治的"な匂いもある。
問題企業は中国国有企業の傘下だった
さらに注目すべきは、「500ドットコム」の筆頭株主が「Tsinghua Unigroup International Co., Ltd.」(清華紫光集団)という点だ。この紫光集団は、清華大学傘下の国有企業である。中国の国有企業が「500ドットコムジャパン」の経営に関与していたのは明白だろう。
結局、「500ドットコムジャパン」は、2019年12月30日付で、陳旭東会長と潘正明CEOを一時的に解任した。そして、会長の後任に、紫光集団幹部、呉勝武をすえている。
今回の汚職事件は、掘れば掘るほど、闇深そうな雰囲気がある。
拓殖大学海外事情研究所
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~2005年夏にかけて台湾の明道管理学院(現、明道大学)で教鞭をとる。2011年4月~2014年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界新書)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
【関連書籍】
大川隆法著 幸福の科学出版
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