2016年3月号記事
天使にアイム・ファイン
映画公開直前レポート
「新しい天使像を描きたかった」
いじめやガン告知、福島の復興など、現代人の苦悩をテーマにした映画「天使にアイム・ファイン」が、3月19日、全国公開予定だ。
どんな作品なのか、監督と出演者2人に話を聞いた。
監督・脚本
園田映人
(そのだ・ひでと)1970年、宮崎県生まれ。早稲田大学を卒業後、映像制作会社レイシェルスタジオを設立。一般企業のCMや教育ビデオ、プロモーションビデオ制作を行う。その傍ら、ドキュメンタリー映画「bloom」(2008年)、「尖閣ロック」(13年)などの制作・監督を務める。
天使・美里役(2役)
雲母
(きらら)1998年、神奈川県生まれ。2012年、映画「ファイナル・ジャッジメント」で映画デビューし、13年、「ウルトラマンギンガ」シリーズのヒロイン役でテレビデビューを果たす。その他、舞台等に多数出演。
吉乃役
芦川よしみ
(あしかわ・よしみ)1958年、東京都生まれ。71年に女優として、76年に歌手としてデビュー。同年には第18回日本レコード大賞新人賞を受賞したほか、テレビCMで歌った「飲みすぎたのは、あなたのせいよ」というフレーズが大ヒット。その後も数々の映画やテレビドラマ、舞台で活躍。2005年に顔を骨折して大手術を受けた。
「監督に、『これはドキュメンタリーなので、芝居をするというのははずしてください』と言われたんです」
こう話すのは、人生の壁にぶつかって絶望する5人の主人公のうちの一人を演じた芦川よしみさん。
その時しか撮れないもの
映画は、絶望する人々に対して、目には見えない天使が働きかけるという、ファンタジー要素も含んだ作品だが、なぜ「ドキュメンタリー」なのか。
「その時、その場所でしか撮れないような状況でしか、魅力的な人間像って捉えられない気がするんです。だから、役者さんには、その現場、そのシナリオを、そのまま生きてほしかった。主人公たちが本気で人生に悩んでいる感じを出したかったんです」
監督を務めた園田映人さんはこう明かす。これまでも、中国の脅威が迫る尖閣諸島の魚釣島に上陸した歌手のトクマを追った「尖閣ロック」や、出産後間もない母親50人のインタビューをまとめた「bloom」など、きらりと光るドキュメンタリーを手がけてきた。
本作は、脚本も園田監督が担当している。製作総指揮者である大川隆法・幸福の科学総裁から提示された原案と、大川総裁の著書で悩み解決のヒントが詰まった『アイム・ファイン』をベースに、福島の農業に携わる人やいじめ解決のプロなどに話を聞き、ストーリーを練り上げた。人生が変わる瞬間が、真実味をもって描かれている。
「芝居のうまさ」を超える
今回、主人公の天使役に抜てきされた雲母さんは、幸福の科学出版作品では2012年の「ファイナル・ジャッジメント」に出演している他、テレビドラマ「ウルトラマンギンガ」でメインキャスト役を演じるなど活躍しているが、主役を務めたことはない。監督の意図は。
「雲母さんは、ソフトな印象とは逆に、非常にロジカルな取り組みをする人で、心のバイオリズムがあまりぶれなかったんですよ。芝居のうまさという意味では未熟さもあるかもしれないですが、メンタルな部分でこの作品に正面から向き合っていれば、それを超えるところまでいくと考えていました」
雲母さん本人はどう感じていたのか。
「主役は初めてだったので、本当に驚きました。最初の頃はとにかく不安で、それが気持ちの9割くらい。撮影が始まる前ごろになってようやく、ものすごくありがたい機会をいただいたことが理解できてきました」
新しい天使像を描く
撮影中に真剣な表情で言葉を交わす雲母さん(左)と園田監督。
しかし撮影中は疲れがたまり、不安が膨らんでしまうことも。それを吹き飛ばしてくれたのが、原作本である『アイム・ファイン』と監督の言葉だった。
「原作の『そのあなたでよい』という言葉が、そのときの私にはすごく心に響きました。監督も一度時間をとって話をしてくださって、『完璧な天使にならなくてもいい。雲母ちゃんの天使をつくってほしい』と言われて、すごくやりやすくなりました」
そこには監督のこんな思いが。
「新しい天使像を描きたかったんです。一般的な映画で描かれているのは、キリスト教的な憂いのある天使や、堕天使などが多い。でもこの作品は、明るくて人を救うことが大好きで、自分自身も成長していく天使の物語にしたかった。それは、現実に世のため人のために頑張っている人たちの姿でもある。考えすぎるとお決まりの天使像になってしまうと思い、そう話しました」
スタッフ全員で向き合う
撮影中の芦川よしみさん(中央)。
グリーンバックの撮影風景。
芦川さんと雲母さんが口をそろえていたことがある。それは、撮影現場の雰囲気のよさだ。
「私も、おそらく周りのみなさんも、伝えるべきメッセージをそのまま伝えられる透明なパイプになろうと思って取り組んでいたと思います。その環境をつくってくれたのが監督なんじゃないかな」(芦川さん)
「天使がいる天上界のシーンは、CGを多く使うため、ほとんどがグリーンバックのシンプルなセットでの撮影でした。でもそのセットの中に入ったとき、ふわっと光が漂っているような崇高な空気を感じたんです。天上界ってこんな感じなのかなと思いました」(雲母さん)
監督には、何か心がけていたことがあるのだろうか。
「怒らない。これに尽きます(笑)。意見がぶつかり合うこともありましたが、いったん受け入れた上でコミュニケーションをとっていく姿勢を貫きました。
ただそれ以前に、集まってくれたスタッフがよかったと思います。役者さんもスタッフも、『脚本ありき』で内容に共感した人が集まってくれた。今の日本映画は本数がすごく多いので、きちんとした仕事をしている人は『引く手あまた』なんです。それこそ、大作を蹴ってこちらに来てくれた人もいます。スタッフ全員のこの作品に向き合う気持ちが、いい雰囲気をつくっていたのかもしれません」
驚きの奇跡体験
この作品は奇跡がテーマになっているが、劇中で最も大きな奇跡を体験する役を演じた芦川さんは、自身の驚きの奇跡体験を明かしてくれた。
「私の演じた吉乃はガンを宣告されますが、私も5年前にガンになってしまいました。その時、とても珍しい症状が出て早期発見できたんです。
また、ある舞台の仕事で幕前の芝居に出ようとした時、着物が何かに引っかかり、出るタイミングが遅れてしまいました。慌てて出ようとしたら、降りてきた幕が突然あおられ、舞い上がって。しかし周りには何も引っかかるものはなかった……。もしあの時に舞台に出ていたらはじき飛ばされていたと思います。
最近では、顔の大怪我がここまで回復したのは奇跡だとよく言われます。もう、天使の存在を無視するわけにはいきません」
当の天使を演じた雲母さんはどうだろうか。
「撮影の前に『伝えるべきことを伝えられますように』とお祈りしているとき、天使や守護霊に応援してもらっているように感じています」
監督が伝えたかったメッセージも「天使の愛」だという。
「人は悩んだり苦しんだりするとき、孤独を感じてしまうものです。でも実はそうじゃなくて、目に見えない世界から応援されていたり、慈悲の光が注いでいたりすることがある。面と向かって言うのは照れくさいですが、映画を通して、『一人じゃない』『自分は見守られている存在なんだ』と感じてもらえたらと思っています」
いじめ、経済苦、余命宣告、夢の挫折、身近な人の死……。人生の試練のときを天使の視点から描いた本作は、目に見えない世界から見れば、本当に起きている、ドキュメンタリーなのかもしれない。
Story
地上の人間たちの声に耳を傾けている天上界の天使たち。その中の一人が人間たちに人生の気づきを与えるため、地上に降りていく決心をする。同級生からいじめを受ける小学5年生の風香。経済的な事情から大学進学を諦めざるをえない優也。末期ガンを宣告された女優の吉乃。3度目の国政選挙でも落選した護。姉を亡くしたばかりの高校生の美里。絶望した5人を救うため、天使は精一杯働きかけるが――。
製作総指揮 / 大川隆法 原作 / 『アイム・ファイン』 (大川隆法著)
監督・脚本 / 園田映人 出演/雲母、芦川よしみ、金子昇、清水一希、合香美希ほか 配給/日活 c2016ニュースター・プロダクション 3月19日公開
Book
天使の愛を感じる新刊
2月3日発刊
元気が出る! 映画原作本
『 アイム・ファイン 』
ともに、大川隆法著、幸福の科学出版刊。