吉田松陰からマンデラまで貫く思想 - 編集長コラム

吉田松陰からマンデラまで貫く思想 - 編集長コラム

日本軍が南アフリカまで攻めてくることを期待していたというマンデラ氏。幕末の時点で、大東亜戦争を見通していた吉田松陰。二人を貫く思想とは――。

 

2014年2月号記事

 

編集長コラム

 

吉田松陰からマンデラまで貫く思想

 

 アパルトヘイト(人種隔離政策)と闘った南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が、天に召された。

 マンデラ氏と日本は縁遠く見えるが、側近に先の大戦について、「日本は大東亜戦争を途中でやめたから、けしからん」と語っていたという話がある。「日本軍がアフリカまで攻めて来て、アパルトヘイトを叩き潰してくれていたら」と考えていたらしい。

 

 

大東亜戦争を見通していた幕末の指導者

 日本は日米開戦から2年後、アジア各国の首脳を東京に集め、欧米からのアジア諸国解放と人種差別撤廃を目指すと宣言した。だが、実は幕末の時点で、日本の指導者たちは、アジア・アフリカから欧米を追い払うことを明確に考えていた。

 長州藩の吉田松陰は、米渡航失敗後、欧米露による侵略に触れ、こう主張した。

「軍備を強化し、北海道を開墾し、カムチャツカ・オホーツクを奪い、琉球を説得し、かつてのように朝鮮を従属させ、北は満州、南は台湾、フィリピン諸島を領有し、進取の勢を示すべきだ」

 その後、インドまで押さえる計画にも言及した。明治政府は、松陰が育てた人材が中枢を占めたが、彼らは結局「師」の言葉通りの道をたどった。

 幕末の儒学者・横井小楠は、実質的な弟子だった松陰や西郷隆盛、勝海舟、坂本龍馬らに、もっと大きなビジョンを語った。

 欧米の植民地主義に「東洋の正義」で対抗し、侵略が収まらないなら京都で国際会議を開き、国際法に基づいて審判する――。日本主導の「国連構想」だ。

「大義を四海に布かんのみ」と詠んだ漢詩には、「第一等の仁義の国」として世界平和を実現せんとする決意がみなぎっていた。

 この志は大東亜戦争まで受け継がれており、それをマンデラ氏も感じ取っていたのだろう。

 

 

松陰らの「人間神の子」の思想

 松陰らのビジョンが、欧米による暴力的な侵略主義と異なるのは、彼らの徹底した平等思想からも理解できる。

 松陰の思想を簡単に言えば、「日本の神々とその子孫である天皇の下、身分制度を捨て、本来平等である人々が決起し、国難に立ち向かおう」というものだ。

 だから松陰が開いた松下村塾では、武士・足軽・農民・町人にこだわらず入門を許し、弟子たちを「友人」と呼んで同等に扱った。

 松陰は孟子の思想に基づき人間が善であると信じ、それぞれに優れた面を見出し、引き出し、時代を牽引する人材に育てあげた。

 横井小楠も「外国人も日本人と同じ『天の子』ではないか」と語っており、共に「人間みな神の子」の思想があった。

 明治維新で粛清のない「無血革命」と四民平等が実現したのは、松陰や小楠に一つの源流があった。

 

 

マンデラは神の子としての人種の融和を目指した

 一方、マンデラ氏を支えたのは、キリスト教的な「神の子」の思想だった。27年の投獄生活の後の、大統領就任演説でマンデラ氏は語りかけた。

「私たちは、自身の内にある神の栄光を表すために生まれてきました。それは限られた人々のものではなく、すべての人の中にあるものなのです」

 白人を憎悪し、黒人による支配を求める声に反対し、アパルトヘイト時代の犯罪的行為も、加害者がすべてを告白すれば罪に問わなかった。マンデラ氏の信仰は、「黒人には魂がなく、猿の仲間だ」としてきた悪しきキリスト教会の価値観と正反対のものだ。

 このほど死後数時間で幸福の科学の大川隆法総裁のところに現れ、公開霊言で“復活"したマンデラ氏の霊は、なぜ人種差別に意味がないのかを語った。

「魂は透明です。色はありません。魂とは考えるエネルギーであり、活動するエネルギーにほかなりません(中略)。これが平等と自由の、本当のポイントなのです」

 

 

リンカン「私たちは許し合わなければならない」

 振り返れば、人種差別と戦った人々は、みな同じ確信があった。1862年に「奴隷解放宣言」を行ったリンカン米大統領もそうだった。

 アメリカ独立宣言で「すべての人間は平等に創られ……」とうたってはいたが、「人間」に黒人は含まれていなかった。奴隷解放をめぐって国を二分する内戦となる中、リンカンの葛藤する心を支えたのが「人間神の子」の信仰だった。リンカンは国民に訴えた。

「私は白人と同様に黒人も同じ権利を授かったと固く信じます。彼らも努力した分だけパンを食べる権利があることでは、どんな人とも同等なのです」

 そして戦争が終わり、勝利した北部諸州の急進派が南軍の指導者の処刑を求めたのに対し、リンカンは呼びかけた。

「人から裁かれたくなければ、人を裁いてはいけない、と神は言われました。私たちは兄弟であり、同胞です。互いに許し合わなければならないのではありませんか?」

 

 

キング牧師「白人は兄弟だ」

南部・北部の対立を和解させたリンカン。白人への復讐を戒め、融和を呼びかけたキング牧師。今、世界にある差別や憎悪を乗り越えるには何が必要なのか。

 ただ、それでも差別はその後約100年間続いた。1950年代、キング牧師らが立ち上がり、差別撤廃を訴えた。キング牧師はワシントンのリンカン記念館前で、「I have a dream」で有名な演説を行った。

「今こそ、すべての神の子のために、正義を実現する時です」

 キング牧師は同時に、どんなにひどい差別や暴力、屈辱を過去に受けたとしても、「白人は兄弟だ」と諭した。

 リンカンによる奴隷解放、明治日本の無血革命、欧米による人種差別を終わらせた大東亜戦争、キング牧師の公民権運動、そしてマンデラ氏によるアパルトヘイト撤廃。これらは、「人間神の子」の思想と「許しの原理」で貫かれている。それゆえに、対立から和解の道が開けたのだ。

 戦後の日本人が、大空襲や原爆投下による市民虐殺を恨みに思わず、アメリカと友好関係を築いていることからすれば、ここにも許しの原理が働いている。

 

 

世界中の差別や対立、憎悪を克服する道

 世界を見渡せば、差別や対立が至るところにあり、憎悪が渦巻いている。中国での少数民族、宗教者への弾圧。キリスト教国とイスラム勢力との対立。イスラム教国での著しい女性差別。

 今ほど、人類の共通基盤としての、新たな「神の子・仏の子の思想」と「許しの原理」が求められている時はない。

 大川隆法総裁は、12月の講演会「智慧の挑戦」で、中国・韓国との歴史問題に触れ、こう説いた。「日本人を千年これから先、憎むなら憎んでもよろしい。しかし我らは、そういう国に対して、二千年、許しを与えましょう。『過去、日本が悪いことを数百年もやった』と言うならば、そういう国に対して、数千年の長きにわたって、我々は幸福を運び続けましょう」

 幸福の科学は、今は唯物論の国である中国に神の子・仏の子の教えを伝え、圧政の下にある人たちを救おうとしている。大川総裁は、キリスト教やイスラム教がこれからの時代、どの教えを残し、どの教えを捨てるべきか、父なる神(アッラーと同じ神)の意図を明らかにし、宗教対立・戦争の芽をなくそうとしている。

 リンカンやキング牧師、マンデラらが今まで各国レベルで創ってきた和解と協調が、今度は地球規模で生み出されようとしている。その時、松陰や小楠が唱えた、世界平和を創り出す「第一等の仁義の国」としての日本が実現するだろう。

綾織次郎

 

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