対中強硬派議員で分かる政治家のレベルの高さ アメリカは議会が外交をけん引

対中強硬派議員で分かる政治家のレベルの高さ アメリカは議会が外交をけん引

Andrew Cline / Shutterstock.com

 

《本記事のポイント》

  • アメリカでは、米上院議会が政権の外交政策を安定させている
  • 共和党議員クルーズ氏は、国益中心の外交政策を力説
  • 対中強硬派として議員立法を行い、中国を追い込む

 

北朝鮮や中国、イラン、ロシア、サウジアラビアなどの国々に対して、アメリカはどのような外交政策を持つべきか――。

 

党派対立が強まるアメリカにおいて、テキサス州選出の共和党上院議員テッド・クルーズ氏が、外交政策とそれを担う上院の役割について、アメリカのシンクタンクで2月初旬に講演を行った。内容は、党派対立を超えたあるべき外交政策を追求した講演となった。

 

 

上院の役割が政権の外交政策を安定させる

冒頭でクルーズ氏は、「上院議会は、憲法上、外交政策において重要な役割が期待されている。だが上院は、約20年間憲法上の役割を放棄し、大統領が交代するたびに、あるいは同じ大統領の期間中でさえ、外交政策が極端に振れることがある」ことを問題視した。

 

アメリカの憲法では、大統領による条約の締結、宣戦、重要な官職の任命についての同意権などの強力な権限を、上院に与えている。それは建国の父たちが、民主制の危険性に対する深い理解を持ち、「上院は世論による感情的な支配から国を守るための防波堤たれ」と考えたからである。

 

クルーズ氏は、「上院議員は行政府に判断をいわば『丸投げ』してきた。その結果、ブッシュ政権やオバマ政権で行われてきたのは、『介入主義』か『非介入主義』との間で揺れる外交政策ではなかったか」と指摘。「介入主義」に失敗したからといって、「非介入主義」に走るべきではないとし、第三のオプションとして「アメリカの国益を中心とした外交政策」を掲げた。

 

クルーズ氏が語る「国益を中心とした外交政策」とは、アメリカの政治学者でカーター政権の人権外交を痛烈に批判したジーン・カークパトリック女史や、それを受け継いだレーガン政権の外交政策に通じるものだという。

 

それは、決して「力の行使」を軽視したものではない。クルーズ氏は、「敵のミサイルを迎撃できる宇宙空間での兵器配備の実験」や「宇宙軍創設の法案」を提出したと述べてもいる。前者は、今年1月のミサイル防衛新戦略(MDR)に取り入れられ、後者は昨年8月の宇宙軍創設宣言に影響を与えた。

 

 

独裁者は真実を恐れている

またクルーズ氏は、軍事力の行使や経済制裁などのほかに、政治家が「真実を語る」ことの重要性を訴えた。つまり、「言葉の力を侮るなかれ」ということだ。

 

クルーズ氏は「独裁者は真実を恐れている」とする。レーガン大統領がソ連に対して「悪の帝国」と名指しした言葉は、ソ連で拘束されていた政治犯たちを勇気づけた。同氏は「この言葉は、近現代において、世界のリーダーが語った最も重要な言葉だった」と絶賛。

 

「(外国への介入を控える)孤立主義者は、道義に訴える大切さを理解していない」と述べた上で、「米軍戦力の増大と明晰な道徳感覚(moral clarity)が冷戦を終結させた二大要因となった」とした。

 

クルーズ氏は、ワシントンD.Cに立つ中国大使館の前に広がる広場を「劉暁波プラザ」に名称変更するように法案を提出し、上院で全会一致の可決となった。アメリカから発された「道徳感覚と言葉の力」は、最終的には、劉暁波氏の妻・劉霞氏を解放する一助になった。

 

 

対中強硬派としての議員立法

習近平氏を「独裁者」と呼んではばからないクルーズ氏は、対中強硬派でもある。

 

例えば、国防権限法の改正案では、「環太平洋合同演習(リムパック)」の中国の参加禁止条項や、米大学の「孔子学院」で提供されている中国語プログラムに対し、国防総省の補助金を制限する条項が盛り込まれている。この背景には、クルーズ氏の法案提出がある。

 

さらに現在は、「SHEET Act(The Stop Higher Education Espionage and Theft Act)」を準備中という。同法案は、中国の知的財産権の盗用や安全保障上の脅威から高等教育機関を守るために、スパイの摘発などの広い内容になっているという。

 

なおクルーズ氏は、2017年に台湾の蔡英文総統と会っている。台湾高官の訪米などを促す「台湾旅行法」の法案を提出したのもクルーズ氏だ。

 

同氏は今回の講演会の質疑応答で、「台湾のメディアから取材を受けたときも、蔡総統の米議会での演説の支持を伝え、米下院議長に蔡英文氏を招待するよう促す手紙に署名したばかりだ」と述べた。

 

 

イデオロギーにとらわれない国益中心主義の外交

さらにクルーズ氏は、外交政策の具体的な展開としては、世界を(1)友好国、(2)敵対国、(3)競争相手、(4)問題のある友好国の4つに分類し、考えることを提案した。

 

アメリカの明確な敵は、イラン、北朝鮮であり、そのような敵から同盟国や友好国としてのイスラエル、日本、台湾などを守るべきだとする。そして競争相手はロシアと中国であり、問題のある友好国はサウジアラビア、トルコなどを列挙した。

 

イランが核を完成させたり、北朝鮮がアメリカの都市を核攻撃の危機にさらしたりする場合には、圧倒的な武力で、攻撃する用意があるとした。

 

サウジアラビアで米記者が殺害された事件をめぐり、米共和党の重鎮であるリンゼー・グラム上院議員やロバート・メネンデス上院議員がサウジに厳しい対応を迫る法案を提出している。

 

このような措置は一見もっともに見えるが、「サウジの弱体化はイランを利する」ことになりかねない。この点、「政治家が人権にこだわるあまりに、大局観を失いがちだ」という批判の声も米軍から上がっている。その意味で、クルーズ氏が掲げる国益中心主義の外交は、既存のイデオロギーにとらわれない外交ポリシーと言えるだろう。

 

最後にクルーズ氏は、現政権への批判を"期待"していた会場の皆さんをがっかりさせるかもしれないと前置きしつつ、「アメリカの偉大さを追求し、アメリカの中流家庭の幸福を願い、軍事力による介入に対する一定の疑問を持っているという点で、トランプ政権はよきアドバイザーが存在する限り、国益をベースとした外交政策の偉大な担い手となる」と高く評価した。

 

トランプ政権誕生後、アメリカでは党派対立が高まっている。その中で、超党派で協力すべきところは協力し合うべきと訴えたクルーズ氏は、まだ48歳。トランプ氏退任後のアメリカを支える一人になるだろう。その人物が披露した「国益中心主義の外交政策」は、超党派の協力を促し、強国アメリカの維持を願うものだった。

 

 

日本も「議員の生産性」を上げるべき

クルーズ氏と日本の議員との違いで際立つのは、議員立法の数の多さである。昨夏に成立した国防権限法のなかにも、クルーズ氏が提言した30もの条項が含まれている。

 

三権分立が徹底しているアメリカでは、法案は議会からしか提出できないが、議員が主導することで行政権力と対抗できている。つまり、三権分立が成立することで、はじめて制限政府が実現する。

 

また、国家の緊急事態が迫るなか、状況に対応する法案をタイムリーに提出することで、FBIが、中国人スパイの摘発に動き出すという流れも加速した。アメリカでは、政権頼みではなく、議会主導で外交上の成果を上げているわけだ。そこには、議員の政策秘書の力量が高いこともさることながら、議員立法をし続ける政治家の情熱によるところも大きいだろう。

 

日本の国会議員は、「立法府の議員としての責務」を果たしているのか、多いに疑問を感じさせるスピーチにもなった。

(長華子)

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『救国の秘策』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=66

 

【関連記事】

2018年12月3日付本欄 国会も終盤 「二権」しかない日本の政治を「三権分立」に変えるには 【寄稿・幸福実現党 及川幸久】

https://the-liberty.com/article.php?item_id=15171

 

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タグ: テッド・クルーズ  三権分立  イデオロギー  劉霞  独裁者  米上院議会  

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