「平成後」の皇室をどう守るか ―永続か危機かの分かれ目 - 編集長コラム

「平成後」の皇室をどう守るか ―永続か危機かの分かれ目 - 編集長コラム

写真:Natsuki Sakai/アフロ

 

2019年3月号記事

 

編集長コラム Monthly  Column

 

「平成後」の皇室をどう守るか

──永続か危機かの分かれ目

 

 

 今上天皇が4月末に退位し、平成の時代が終わる。続いて5月に新天皇が即位し、初代の神武天皇から数えて126代目となる。

 この間2700年近くにおよび、これほど長く続いた王朝は世界には存在しない。

 中国の王朝は、秦から清まで2100年で統一王朝だけでも11あるとして、平均200年弱で交代してきた。今の中国共産党政権も「王朝」と考えれば、わずか70年の歴史しかない。

 日本以外で最も長い王室の一つのイギリス王室は約900年続くが、「王朝」単位で見ると、今のウィンザー朝は100年余りにすぎない。

 世界に誇る日本の皇室は守り抜かなければならないものであることは間違いない。

 皇室伝統を支えてきた土台は何だろうか。それを点検し、皇室を永続的なものにする方法を考えてみたい。

 

写真:AP/アフロ

 

 

(1)天照大神に祈る祭祀王

 7世紀の「日本書紀」に天照大神のこんな神勅が記されている。

「この日本の国は、私の子孫が王となるべき地である。(中略)皇室が栄えることは、天地がある限り永遠である」(現代語訳)

 この言葉がその後の歴史で実現している。その背景には、天照大神をはじめ日本の神々の高い精神性があったからといえる。天照に始まる「和の心」が日本の国を一つにまとめてきた。

 歴代天皇は「祭祀王」として、天照大神を含む天神地祇に祈りを捧げ続けてきた。特に毎年、秋の穀物の収穫を天照と天皇が共に食する新嘗祭と、天皇の代替わりの大嘗祭はその象徴で、飛鳥時代の天武天皇(在位673~686年)、持統天皇(在位690~697年)のときに祭祀の中身が固まったとされる。

 天神地祇にはさらに古い神様も含まれているという。古代文字で書かれた文献『ホツマツタヱ』には、大嘗祭は天御祖神という日本神道の創造神にも祈ると記録されている(*1)。それぞれの部族が創造神を立てて対立しないよう、天皇のみが大嘗祭で祈ることになったそうだ。

 天照信仰、天御祖神信仰が皇室の精神性の根底にある。

(*1)池田満著『ホツマ縄文日本のたから』より。

 

 

(2)仏教信仰で国を安泰に

 天皇は祭祀王として続いてきたわけだが、信仰や祭祀の中身はその時々で変化してきた。

 最も大きな変化は聖徳太子(574~622年)の時代以降、仏教を取り入れたことだ。太子は「篤く三宝を敬え」の精神を政治原理として導入した。

 聖武天皇(在位724~749年)と光明皇后は大仏を建立。当時、世界最高レベルの仏教大国となった。

 9世紀の平安初期、嵯峨上皇の時代には、空海に命じて宮中に密教道場「真言院」を造らせた。そこで正月に仏教祭儀を執り行い、天皇や国全体に不幸を起こす邪霊・悪魔を調伏。明治期に「廃仏毀釈」が行われるまで1千年以上にわたって行われた。

 天皇が仏教を篤く信じ、仏教によって国の安泰を実現しようとしたことが、皇室の役割を国民にとって不可欠なものとした。

 

 

(3)最高神官として政治と距離

 10世紀後半の平安中期には実質的な権力者が天皇から藤原氏に移った。天皇は役割を祭祀王から「日本神道の最高神官」という宗教的権威に変化させた。

 12世紀末に武家政権の鎌倉幕府が建てられると、皇室は政治との距離が拡大。そのおかげで室町・戦国・江戸にいたる「内乱」や「政変」の波をまともに受けることなく、宗教的存在として存続することができた。

 

 

(4)男系男子の皇位継承

「男系男子」の皇位継承によって、時の権力者が皇室を乗っ取るのを防いだことも大きい。「男系男子」は父方をさかのぼれば、神武天皇、さらに天照大神にたどり着く血統を意味する。

 女性天皇が皇族以外の男性と結婚してその子供が天皇になると、「女系天皇」が誕生する。イギリス王室の場合、「男系」が途切れて「女系」になると、同じ王室の流れでも「ハノーバー朝」「ウィンザー朝」というように明確に区別した。

 日本の皇室は、イギリスのように「別王朝」になることを2700年近く拒絶し続けてきたわけだ。

「男系男子」を維持するためには、天皇の子に男子が生まれるように側室を設けたり、男子ができない場合に備え、男系の血筋の宮家を複数立てたりした。

 天照大神、神武天皇からの「血の濃さ」を守ることで、皇室に侵しがたい尊さが生まれ、権力者の"野望"を抑止してきた。

 

 

 

皇室を守る神々の意志

 幸福の科学のリーディングからも、皇室が数千年にわたって守られてきた理由を垣間見ることができる。

 天照大神は何度も地上に生まれ変わり、「太陽信仰」を守り育んできたことが分かっている。天照大神が地上で生きた時代よりも以前の5千~6千年前に太陽信仰を立てた大日孁貴(オオヒルメノムチ)、そして伊勢神宮の創設を決めた第11代・垂仁天皇の皇女の倭姫などが、天照大神の転生として明らかになっている(*2)。

 また、日本神道における創造神・天御祖神は、約3万年前に宇宙から日本に飛来し、信仰の価値や「敬」の心などを教え、日本神道の源流となったことも判明している(*3)。

「宇宙から飛来」というとトンデモ話に聞こえるが、インドやエジプトなどの古代神話にも宇宙人的存在が当然のように登場するので珍しいことではない。

 天照大神は奈良時代には、聖武天皇のお妃の光明皇后として生まれ、仏教を国の精神的支柱とする大改革をリードした。神道の「和の心」と仏教の慈悲の精神を融合し、国を一つにまとめるねらいだった。

 さらに天照大神は、幕末の長州に吉田松陰として生まれた。尊王的な革命思想を説いて倒幕・維新の"震源地"となった。

 日本の歴史には、「皇室を守り続けなければならない」という神々の強い意志が働いてきた。

(*2)大川隆法著『大日孁貴の霊言』など参照。
(*3)大川隆法著『天御祖神の降臨』参照。その名に「天」がつく日本の神々は宇宙から飛来したことが明らかになっている。

 

 

(1)神仏を尊ぶ心を取り戻す

 しかし戦後は、神々の意志が働きにくくなっている。皇室を守ってきた土台の大半が崩れているためだ。それら一つひとつを再建しなければならない。

 アメリカの占領政策の結果、戦後は信仰の価値が否定され、宗教が「悪」であるかのように扱われている。憲法20条3項で「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」とネガティブな規定があるのはその象徴だ。宗教を公的な領域から排除し、マスコミは宗教について事件や不祥事以外報じなくなった。

 天皇の本質は「神道の最高神官」だが、国民が十分理解できず、天皇や皇族は被災地を回ったり、他国のトップと晩餐会をしたりして、目に見えるかたちで「開かれた皇室」をアピールし続けている。

 天照信仰に限らず、神仏を尊ぶ心を取り戻すことで、初めて皇室を支える土台が修復される。

 

 

(2)皇室の仏教信仰の復活

 明治の日本は、有色人種の国で初めて近代国家をつくり、最終的に先の大戦で欧米の人種差別・植民地主義を終わらせた。そうした寛容性を持った国だったにもかかわらず、国内では仏教を排斥したことが悔やまれる。

 明治政府の「廃仏毀釈」によって、皇室では仏教色が取り除かれた。空海に始まる仏教祭儀が宮中で廃止されるなど徹底したものだった。仏教の信仰や祭儀は、国家安泰を守る天皇の霊的パワーの柱だったので、それが大きく減退することを意味した。先の大戦で300万人以上の国民の犠牲を出して敗戦した原因の一つとなった。

 神道の「和の心」と仏教の慈悲が日本の中心精神であり、天皇はその守護者であるという位置づけを取り戻したい。

 

 

(3)宗教として政治と距離

 明治憲法下では天皇が「元首」となった。そのため、鎌倉時代から保ってきた政治との距離がほぼゼロとなり一体化した。

 戦後は「象徴天皇」となり、「神道の最高神官」の役割が少し回復した。ただ、現憲法の「国事行為」には「元首」的な役割が一部残っており、政治との距離は近いままだといえる。

 自民党が2012年にまとめた憲法改正案は、「天皇は日本国の元首」とうたったので、明治時代への回帰を目指している。

 敗戦時、アメリカ政府内には「昭和天皇処刑」「皇室廃止」を求める声が強かった。それを占領行政の責任者のマッカーサーが昭和天皇の徳に感動し、本国の意向を押しとどめ、存続が決まった。そうした経緯を踏まえれば、「元首化」は天皇・皇室を再び廃絶の危機にさらすものだ。

 やはり、宗教としての純粋性を保ち、政治と距離をとるほうが皇室を守ることができる。「最高神官」としての地位を明確にする憲法改正が必要だろう。

 

 

(4)男系の前提となる信仰心

 マッカーサーの占領政策で、「男系男子」の皇位継承を支えてきた側室制度はなくなり、宮家も3家を除き11家が廃止された。「男系男子」の基盤が取り払われ、天皇家が無防備に放り出された状態だ。

 今の時代に側室制度の復活は難しいにしても、旧宮家を皇籍復帰させたり、男子の途絶える宮家に旧宮家から養子をもらうなどの方法は可能だ。

 気になるのは、一部保守系論客の意見に、「男系男子」を重んじるあまり、「Y染色体が継承されることが大事」「天皇の人格はどうでもいい」という主張まであることだ。これでは「サラブレッドの種馬が何よりも大事」という競争馬の話と変わらなくなる。それは唯物論的な虚しい議論だ。

「男系男子」を守るにしても、まずは天照大神への信仰を堂々と語り、そのうえで「天照様に始まる血統を守る」という宗教的論理を立てる必要がある。

 その意味で、皇室を存続させてきた土台を築き直していくには、これら(1)~(4)をワンセットで推し進めるべきだろう。

 一方で、皇室が宗教的存在であることを軽んじるようならば危機に瀕する。祭祀を中心に置き、宗教家として国民の安泰を祈り続けていることに皇室の存在理由がある。

 この日本の根本精神が失われれば、日本そのものの衰退につながる。その意味で、皇室は永続か危機かの分かれ目に立っている。

 

写真:月岡陽一/アフロ

 

 

「新・日本国憲法試案」の意味

 安倍晋三首相は憲法改正を目指し、今夏の参院選での国民投票に望みをかけている。その大イベントに向けて、現時点で憲法改正案を出しているのは自民党と幸福実現党ぐらいだ。

 幸福実現党の「新・日本国憲法試案」は、前文、第二条でこううたっている。

われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する

「神仏の心を心」とすることを規範とし、宗教を「善」なるものとして尊重することで、(1)や(2)で触れた信仰心や仏教的精神を取り戻す出発点となる。また、(4)の「男系男子」を主張する宗教的論理の足場にもなる。

 最も重要なポイントは、第十四条の天皇の規定だ。

天皇制その他の文化的伝統は尊重する

 これは、(3)で述べたような、皇室と政治の距離を保ち、文化的・宗教的存在として永続することを目指している。

 第四条には大統領制が盛り込まれている。

大統領は国家の元首であり、国家防衛の最高責任者でもある

 もし先の敗戦のような事態があれば、「元首」である大統領が死刑になる覚悟を示したものだ。

「新・日本国憲法試案」全体として、皇室を守る目的を含んでいるといえる。

 日本は、創造神・天御祖神の教えが出発点となり、天照大神が神道と仏教を融合させながら守り続けてきた国である。日本が再び世界レベルの宗教大国となることで、隣の唯物論国家の覇権主義を路線転換させることが可能となる。

(綾織次郎)

 

新・日本国憲法試案

【前文】

われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。

 

【第二条】

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。

 

【第四条】

大統領は国家の元首であり、国家防衛の最高責任者でもある。大統領は大臣を任免できる。

 

【第十四条】

天皇制その他の文化的伝統は尊重する。しかし、その権能、及び内容は、行政、立法、司法の三権の独立をそこなわない範囲で、法律でこれを定める。

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