国会も終盤 「二権」しかない日本の政治を「三権分立」に変えるには 【寄稿・幸福実現党 及川幸久】

国会も終盤 「二権」しかない日本の政治を「三権分立」に変えるには 【寄稿・幸福実現党 及川幸久】

 

《本記事のポイント》

  • 日本は議員立法が少なく、国会で建設的な議論がなされない
  • アメリカでは議会が迅速に法律を作り、「三権分立」が確立している
  • 日本でも、議会が立法の役割を担えるよう改革が必要

 

第197回の臨時国会が終盤に差し掛かる中、与野党の応酬が続いている。

 

日本の国会をどう考えるべきか。幸福実現党外務局長の及川幸久氏による寄稿を掲載する。

 

◆               ◆               ◆

 

臨時国会では、「入管法改正案」が衆院で可決し、参院へ送付されました。しかし、国会で繰り広げられたのは、週刊誌の記事に基づいた新大臣批判ばかり。

 

日本の国会議員は、委員会で質問をする姿がテレビに映ることで、「仕事をしている」と国民にPRしているように見えます。たとえその内容が法案とは全く関係のない週刊誌記事についてでも、とにかく質問することが最高のパフォーマンスになっています。

 

そして、国民の側は、それに対して批判するというより、ウンザリして、あきらめているようにも見えます。

 

 

アメリカ議会の迅速な仕事ぶり

では、アメリカの連邦議会はどうでしょうか。

 

米議会の仕事ぶりに対して、米国民の評価は決して高くはないのですが、日本から見ていると、迅速な動きに関心することが多々あります。

 

例えば昨年、北朝鮮に一年間拘束されていたアメリカ人大学生のオットー・ワームビアさんが、トランプ政権の交渉によって解放されたものの、拘束中に受けた拷問の影響によって帰国後に亡くなりました。

 

これに対して連邦下院議会はすぐに、北朝鮮に対する経済制裁の法律「オットー・ワームビア北朝鮮制裁法」を可決しました。ワームビアさんが6月に亡くなり、経済制裁法が可決したのは10月です( https://the-liberty.com/article.php?item_id=14543 )。

 

また、今年は中国政府による自国民のチベット人やウイグル人に対する人権弾圧が問題になりました。米議会では、超党派の議員による「中国特別委員会」が、中国政府に対する厳しい非難声明を出し、政府による中国制裁を訴えかけました。

 

同時に、連邦下院議会は、「チベット相互入国法案」を可決しました。これは、中国政府が、アメリカ人の役人やジャーナリストなどのチベットへの立ち入りを規制した場合、中国政府の役人の訪米を拒否するという法律です ( https://the-liberty.com/article.php?item_id=15054 )。

 

日本の政府も国会も、中国の人権弾圧に対して何の反応も示さない中、アメリカの議員たちはよく動いている印象を受けます。

 

 

「国会改革」の声はあるが……

今、日本の国会議員たちから、「国会改革」の声が上がっています。

 

今年6月、与野党の衆院議員100人以上が、国会改革の勉強会を立ち上げました。その中では、「国会が行政をもっと厳しく監視しよう」「議論の生産性を上げて、もっと結論を出せるようにしよう」という意見が交わされています。

 

このような国会改革の声は、過去にもありました。2011年の民主党政権時代に、やはり超党派の勉強会が、衆院議長に具体的な提言をしています。

 

例えば、国会が国民の信頼を最も失っている行為は、議員の「暴言やヤジ」。このヤジを一掃して、品位ある国会にする。

 

また、「予算委員会」は本来予算を審議する場のはず。ところが、予算に関係ない、あらゆることが質問されている。この予算委員会は予算審議のみとして、その他のことは別の委員会で話し合うというもの。

 

こうした提案が上がっているものの、なかなか実現しません。

 

 

日本は「三権分立」ではなく「二権」だけ

私は、日本の国会は、小手先の改革案では変わらないと思います。その理由は、日本の政治は「三権分立」ではなく「二権」ではないかと思うからです。

 

日本の政治は、一見、立法・行政・司法と分かれているように見えますが、実際には、「議院内閣制」によって国会と内閣が事実上一体化している状態です。

 

形の上では、国会が法律を作ることになっていますが、実際にほとんどの法案を作っているのは、行政府である内閣です。

 

今年1月からの通常国会(第196回国会)の結果を数字で見てみましょう。

 

内閣が提出した法案(「閣法」と呼ぶ)は65本で、そのうち60本が成立しています。成立率は9割以上です。

 

それに対して、議員が提出した法案(衆院の「衆法」、参院の「参法」)は、20本しか成立していません。衆法は提出した52本中、16本が成立。参法は、25本中、わずか4本しか成立していません。

 

このように、国会で作られる法律のほとんどは、議員ではなく、官僚がつくったもの。日本は、「議員立法」が極めて少ないのです。

 

「それは当たり前で、何かおかしいの?」と思われるかもしれませんが、これはおかしなことです。

 

国会議員は、英語で言えば、"lawmaker"です。立法府は法律をつくるところ、行政府は法律を執行するところ。つまり、両者の機能は別なのです。

 

 

アメリカ大統領は法律を作れない

例えばアメリカでは、厳格に三権分立が守られています。アメリカ大統領は行政のトップであるので、法律を作る権利がありません。

 

さらに、大統領は、立法府である連邦議会の建物に入ることすら許されていません。その代わり、年に一回、議会が大統領を議事堂に招き、政策の方針を聞きます。これが「一般教書演説」と呼ばれるものです。

 

選挙で当選した大統領なので、国民の民意を代表しているという理解により、その方針を尊重することになってはいますが、議会は大統領の方針に100%従う義務はありません。例えば、トランプ大統領は、大減税を実現したいと考えても、減税法案を提出できません。そこで、共和党の議員たちに依頼して、減税法案を提出してもらいます。

 

トランプ大統領の減税案は、39%の法人税を15%に下げる大胆なものでした。しかし、共和党の議員たちが話し合った最終案は、21%です。

 

これくらいの厳格さが、本来の三権分立のあり方です。

 

 

徹底した「三権分立」で新たな国造りを

ヤジの一掃や、予算委員会を審議だけにするなどの改革案も出ていますが、「国会改革」を目指すのであれば、もっと根本的な改革をすべきでしょう。

 

それは、官僚ではなく議員が法律を作るという、本来の議会のあり方にすること。つまり、「議員立法」がもっと多くなるようにすることです。

 

そうなれば、国会議員はパフォーマンスではなく、真剣に勉強しなくてはならなくなるでしょう。もちろん、時代に合わなくなった法律は捨てていく必要があります。

 

今年は明治維新から150年。坂本龍馬たちが描いた「新たな国造り」は、未完成のように見えます。三権分立を徹底して、今こそ、この国の仕組みを変えるときです。

 

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筆者

及川 幸久

(おいかわ・ゆきひさ) 1960年生まれ。上智大学文学部、国際基督教大学行政大学院修了。米メリルリンチ社、英投資顧問会社勤務を経て幸福の科学に出家。2012年より幸福実現党外務局長を務める。YouTubeに「及川幸久のトランプ・チャンネル」、Twitterでは「トランプ和訳解説@及川幸久」を開設し、トランプ情報を伝えている。著書に『あなたも使いこなせる トランプ流 勝利の方程式 ―考え方には力がある―』がある。

 

 

タグ: 幸福実現党  及川幸久  三権分立  アメリカ議会  人権弾圧  国会  

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