「棄教」強いる習近平vs.ウイグルのイスラム教徒 - 編集長コラム 特別版

「棄教」強いる習近平vs.ウイグルのイスラム教徒 - 編集長コラム 特別版

 

2018年10月号記事

 

編集長コラム Monthly  Column

 

特別版

「棄教」強いる習近平vs.ウイグルのイスラム教徒

 

 歴史上最大の強制収容所が、中国の新疆ウイグル自治区に造られようとしている。自治区の人口約2300万人のうち約100万人が入れられ、300万人説も出ている。今やナチス・ドイツによるユダヤ人強制収容所に並ぶ勢いがある。

 中国共産党政権はウイグルのイスラム教徒を弾圧し続けてきたが、これだけ大規模な「強制収容」は初めてだ。

 この動きは2016年末から本格化し、日本にいるウイグル人(ウイグル族)が現地に残してきた家族も次々と収容所に送り込まれた。彼らは家族が「人質」にとられているため沈黙を守ってきたが、「結局は家族が片っ端から入れられてしまう。だったら声を上げるしかない」と語り始めた。

 

 

「熱心な信仰者」を収容所送り

「兄夫婦が昨年3月に連行されました。1日5回の礼拝を欠かさない信仰心篤い夫婦で、そういう家庭は以前からマークされていました。だから真っ先に入れられたんだと思います」

 そう語るのは日本で10年以上働くハサンさん(40代、仮名)。兄夫婦には小学校から高校までの子供が3人いるが、今はハサンさんの母が病身ながら一人で面倒を見ている。

「母が今どういう状態か分かりません。兄の子供たちは学校に行っておらず、将来がどうなるか心配です」

 自治区当局は、ウイグル人一人ひとりを「点数化」し、100点から減点した「低得点者」から収容所送りにしている

 その基準は、(1)イスラムの礼拝を熱心にしていたり、イスラムの知識がある。(2)中東など外国に行ったことがある。(3)外国に身内がいたり、留学した子供がいる―など32種類ある。ハサンさんの兄夫婦は真っ先に拘束の対象となった。

 

ウイグル人の「点数表」

 -「低得点者」から収容所に送られる

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※赤字は本誌が 日本語訳し、加えた部分。2017年7月ごろ、ウイグル人コミュニティから流出した当局の内部資料(下写真)をもとに作成。

 

 

 

「孤児」が社会問題化

 日本に来て10年目のナスリさん(40代、仮名)は3人の兄弟がみな収容所に入れられた。3男が一家の大黒柱で、母親の面倒を見ていたが、「電話がつながらず、母が生きているのかも分かりません」と言う。

 家族でも事実がつかめないのは、海外から連絡するだけで家族や知人が収容所送りになる危険が高まり、双方がやむなくコンタクトを断つからだ。電話がつながっても、当局が盗聴しているため詳細な話ができない。

 収容された理由は、やはり信仰深さだ。3男はイスラムの戒律を厳格に守っていたという。ナスリさんが時折、連絡していたことも「減点」となった。

「イスラム教は自殺禁止ですが、それでも自分のせいで兄弟たちが捕まってしまい、自殺しようかと思うほど苦しみました」

 15~55歳の“働き盛り"が優先的に強制収容されるので、町には子供と高齢者が残される。祖父母まで収監されるケースも多く、「孤児」が社会問題化しているが、当局はお構いなしで収容所を拡大し続ける。

 

 

中国の空港で突然の拘束

今回、話を聞いた日本にいるウイグル人の方々。

 当局は海外に今いるウイグル人を「強制帰国」させようとしている。例えば、昨年夏からエジプトでは中国政府の要請を受け、地元警察がウイグル人留学生を拘束し、中国へ送り返すケースが相次いだ。

 さすがに日本の警察はそんな無法はしないから、中国政府は別の方法をとる。それは本人に連絡し、「家族がどうなるか分からない」と脅すやり方だ

 関西圏の大学院に通うウイグル人留学生オスマンさん(30代、仮名)はこう話す。

「多くの在日ウイグル人には地元の警察から連絡があり、『帰って来なければ両親を収容所に入れる』と言われます。それでウイグルに帰り、行方不明になった人もいます。私にも昨年と今年、警察から直接連絡がありましたが、さすがに危ないと思って帰りませんでした」

 日本にいるウイグル人は、中国の空港に降り立った時点で拘束され、収容所行きになる可能性が高い。その典型例が関西圏のメーカー勤務の女性デイルバさん(20代、仮名)。昨年末、出張のために訪れた広東省の空港で入国手続き中にいきなり拘束された。その様子を目の当たりにした同社社長には何の説明もなかった。同社は帰国後、日本の外務省に働きかけたが、「中国国内の問題なので、何もできない」と回答するだけだったという。

 日本にいる友人男性(40代)は、「名前はウイグル人だけど考え方は中国人で、ウイグル語もイスラム教のことも分からない。それでも捕まってしまった。彼女にはもう未来がない」と語る。

 

こんな人が収容所に入れられる

  • 熱心にイスラムの教えを実践。
  • 海外に行ったことがある。
  • 海外に家族がいる。

     ↓

収容所の「イスラム棄教」プログラム

  • イスラムの信仰を捨てることを強要される。拷問を受ける。
  • 共産党、習近平氏への忠誠(信仰)を誓わされる。
写真:ロイター/アフロ pr_camera / Shutterstock.com Pete Niesen / Shutterstock.com

 

 

イスラムは棄教、共産党へ忠誠

 では、巨大な収容所の中で何が行われているのか。

 自治区当局が昨年10月に出した声明では、ウイグル人は「危険思想に感染した病人」であり、「頭からウイルスを取り去る治療」が必要で、「善悪を区別できるようにしている」と述べている。

 収容所から出てきた数少ないウイグル人に直接話を聞いた社会学者のマッシモ・イントロヴィーネ氏は、こう語る。

「収容所には、信仰を捨てれば家に帰れたり、少なくともすぐに帰れると約束するアメとムチのシステムがあります。しかし、信仰を強固に守る人は永遠に出ることができず、拷問を受け(女性の場合は強姦)、殺されることもあります。イスラム教は『邪教』と分類され、信仰を捨てるよう求められるのです

 ビジネスでウイグルに行き、収容所に入れられたカザフスタン国籍の男性(42歳)は自国政府の圧力で出所できた。その人が海外の通信社の取材に答えている。

「地方政府の教官がイスラム教の危険性についてレクチャーしたうえで言いました。『中国の法律とシャリア(イスラム法)のどちらに従うのか』と」

 イスラムの信仰を捨て、その代わりに中国共産党への忠誠と感謝を強要される。従わなければ、拷問に加え、食事や睡眠が与えられないなど待遇がどんどん悪くなるのだという。

トゥール・ムハメット氏

 こうした苛酷な状況の下、当然、肉体的・精神的に衰弱し、死人も出てくる。日本ウイグル連盟会長のトゥール・ムハメット氏は、臓器摘出の可能性を指摘する。

「多ければ300万人が収容所に入れられているので、経済活動がほとんど停止しています。収容所の運営費は、臓器移植でまかなっているのではないかと推測しています。1人の臓器は150万元(約2400万円)になる。ウイグルの空港に臓器移植優先の通路があったり、12~65歳の全住民からDNAや血液などの生体データを集めていることがその証拠です」

 

 

「邪教のイスラム教」大弾圧

 ウイグルの収容所は、イスラム教徒に棄教を迫るシステムだ。

 文化大革命期(1966~76年)やチベットなどで、寺院やモスクが破壊されたり、聖職者が投獄されたりすることはあった。しかし、一般のウイグル人イスラム教徒を収容所に入れ、信仰の放棄を強要することは今までなかった。

 ウイグルのイスラム教徒迫害は、「邪教」と明確に区分される法輪功や全能神の信者が拷問によって信仰を捨てさせられるのと同じ方法がとられている。

「イスラム教を邪教と呼ぶことは、アラブや他のイスラム教国との関係に重大な結果をもたらす」(社会学者のマッシモ氏)ため、中国政府ははっきりとは言わないが、少なくともウイグルでは「邪教のイスラム教」に対する大弾圧が展開されている。

 

 

救済に動くトランプ政権

 中国政府は、「棄教のための強制収容所」の存在を認めていない。これに対しアメリカのトランプ政権が本気で動き出した。

 ペンス副大統領は7月末、ワシントンに80カ国以上の活動家などを招いた「信教の自由を促進する代表者の集い」でこう演説した。

「アメリカは信仰の国であり、信教の自由がこの政権の最優先事項です」

「中国政府は数十万人、もしくは数百万人のウイグルのイスラム教徒を『再教育キャンプ』に拘束している。そこでは昼夜を問わず政治教育が行われ、宗教的信条や文化的アイデンティティを失わせようとしている」

 トランプ政権や議会は、新疆ウイグル自治区の陳全国(チェンチュエングオ)党書記に対して海外資産の凍結や旅行制限を行うなどの措置を検討している。

ペンス副大統領はトランプ政権として、「信教の自由から平和や繁栄などが生まれてくる」という考え方を鮮明にした。写真:AP/アフロ

 

 

ユダヤ難民を救った日本

 約2千人とされる在日ウイグル人社会では、日本政府への期待が大きい。

 ナチスのユダヤ人迫害以上のことが起きているなら、戦前・戦中に日本政府が押し進めたユダヤ人保護と同じレベルのウイグル人保護を断行すべきだろう

 1938年ごろ、ユダヤ人迫害が激しくなり、数百万人がドイツ国外に逃げ出した。当時は米英もユダヤ難民を受け入れず、日本がほとんど唯一の受け入れ国だった。杉原千畝・リトアニア領事代理の発行した「命のビザ」は有名だが、実は日本政府全体の意思としてユダヤ人を救おうとしていた。

「戦前と同じようにウイグル人を救う法律をつくってほしい」(前出の留学生)というのが在日ウイグル人の願いだ。

 在日ウイグル人の中には、仕送りが途絶えて留学を断念し、帰国を迫られるケースが増えている。また、パスポートを更新しようとすると、在日中国大使館に帰国を命じられる。いずれも収容所行きは避けられない。

 さらには、ウイグル人が日本国籍を取得しようとしても、ウイグルの地元の役所から戸籍関係の書類を取り寄せられず、手続きを進められない。こうした問題に対し、包括的な保護政策をまとめる必要がある。

 

 

今こそ「宗教国家同盟」を

 戦前・戦中の日本は、ソ連の南下を防ぎながら中ソの連携を断ち、アジアの共産化を阻止するため、内モンゴル、ウイグル(東トルキスタン)の独立を支援し、チベットとも連携した。イスラム教国のウイグル、仏教国の内モンゴルとチベットとの「宗教国家同盟」で共産主義を抑え込むシナリオだった。

 

無神論の中国に対抗する「宗教国家同盟」を

 

 結局は成功しなかったが、70年以上が経ち、世界支配を目論む共産中国に対し、「宗教国家同盟」は今こそ必要だ

 信教の自由を世界に広げるアメリカ、ロシア正教で強国復活を目指すロシア、アジアの宗教大国インド、イスラム教と民主主義が両立するトルコなどが重要な「同盟国」となる。そして他のイスラム教国も巻き込み、棄教を強いる習近平氏をイスラム世界が非難する図式をつくり出す。これで13世紀のモンゴルの侵略のようにアジア・ヨーロッパに伸びる中国の「一帯一路」構想を頓挫させられる。

 だが、日本がアジアの信教の自由を守るために立ち上がらなかった場合は、「現代の元寇」に踏み潰されるかもしれない。

 前出のトゥール・ムハメット氏は警鐘を鳴らす。

「いかに日本を守るか。それを考えないと、日本がウイグル人を助けることなんてできない」

 ウイグル人も日本人も、中華帝国の“隣国"として同じ運命を背負っている。

(綾織次郎)

 


 

Report

 

国連委員会で中国のウイグル弾圧を批判

 国連で、中国の人権弾圧に厳しい目が向け始められている。

 8月にスイスのジュネーブで行われた「国連人種差別撤廃委員会」に、NGO「Happiness Realization Research Institute」の代表として、幸福実現党外務局長の及川幸久氏が出席。中国政府が数十万から数百万人のウイグル人を強制収容所に送っているとして、次のようなスピーチを行った。

「中国政府は国家分裂主義者や過激派テロリストを取り締まる法律をつくり、合法的にウイグル人を拘束、逮捕していますが、その実態は一般市民への不当な弾圧です」

 同委員会には約30のNGOが参加し、委員との質疑応答をはさみながら、約20の団体の代表者がスピーチを行った。

 これらの訴えに共感した、あるアメリカの委員は中国政府を激しく糾弾。会合に参加した中国政府側に対し、状況の正確な説明を求めた。国連の場で、明確に中国によるウイグル人弾圧が取り上げられた歴史的瞬間だったといえる。

 帰国後、及川氏は「ジュネーブでは、中国の人権問題に取り組む複数のNGOの代表と出会い、問題意識を共有しました。今後さらに連携を強めていきたい」と語った。

ジュネーブで北朝鮮人権問題調査会のマイケル・カービー委員長に取材する及川氏(2014年当時)。

 

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タグ: 2018年10月号記事  編集長コラム  綾織次郎  中国  ウイグル  収容所  弾圧  ペンス副大統領  イスラム教  トゥール・ムハメット  著名知識人  幸福実現党  及川幸久  

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