メディアが報じない「米中戦争」 トランプ大統領の真の狙いは中国の覇権阻止

メディアが報じない「米中戦争」 トランプ大統領の真の狙いは中国の覇権阻止

 

《本記事のポイント》

  • 米朝会談後、米中貿易の行方に世界の注目が集まっている
  • トランプ大統領の真の狙いは中国の覇権阻止
  • アメリカが国家戦略を転換させていることに目を向けるべき

 

筆者

及川幸久 幸福実現党外務局長、国際政治コメンテーター

 

◆               ◆               ◆

 

トランプの本当の狙いは「中国の覇権阻止」

歴史的な米朝会談を終えて、アメリカのマスコミもトランプ大統領のツイッターも、連日対中貿易交渉を取り上げている。北朝鮮問題は、もう終わったかのようだ。

 

マスコミは、「トランプ大統領の横暴な関税が各国と貿易摩擦を起こしている」「米中貿易戦争が世界経済に悪影響」と、トランプ批判を繰り返している。批判のネタは、「トランプは本格的に保護主義に舵を切った」ということだ。

 

しかし、これは表面的な見方だと私は思う。

 

なぜなら、トランプ大統領が本当にやろうとしていることは、保護主義でも、同盟国との対立でもなく、「中国の覇権を抑え込むこと」だからだ。

 

 

習近平・金正恩の第二回会談をトランプが気に入らなかった理由

米朝会談を直前に控えたトランプ大統領は、ホワイトハウスの記者会見で、北朝鮮について質問を受けていた。ところが、トランプ大統領は北朝鮮についてはサラリと触れるだけで、聞かれてもいない中国のことを話し出した。それも再三にわたって。

 

5月7、8日の2日間にわたって、中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩委員長との二回目の会談が中国の大連で行われた。トランプ大統領は、この会談に対して「気に入らない」と吐き捨てた。大連で「中国初の国産空母」がつくられているからだ。

 

トランプ大統領は記者たちに「あの空母の金を誰が払ったと思ってるんだ。アメリカだ」と言い放った。

 

もちろん、そんなはずはない。ただ、トランプ大統領が言いたかったことは、中国はアメリカとの貿易で儲けた莫大な資金で空母をつくっているということだ。ここにトランプ大統領の本音が込められている。

 

アメリカの年間貿易赤字は、トランプ大統領の言い方では、8000億ドル(約90兆円)。その半分が中国による赤字だ。中国は対米貿易を利用して、黒字を積み上げ、軍事力を異常拡大させてきた。

 

その意味で、中国の空母代を払っているのはアメリカだ、ということだ。

 

 

中国の貿易ルール違反の数々

では、中国はどういう貿易を行ってきたのか。

 

中国は世界貿易機関(WTO)に加盟したことで、世界のどこの国にも輸出できるようになった。WTOには自由貿易のルールがある。そのうちの一つは、「輸出補助金の禁止」。国家が企業の輸出促進のために補助金を出したら、企業のコストは下がり、輸出先での価格も下がる。公平な自由市場を歪めるため、こうした行為は禁じられている。

 

ところが、中国は大量の輸出補助金を出し、実質的な国有企業として市場介入している。

 

また、外国企業が中国に進出してきたら技術を公開させ、それを盗み、堂々と自国のものにする。国際ルールを破って、やりたい放題だ。

 

そんな中国に対して、WTOも国連も過去のアメリカ大統領たちも無策だった。そこに待ったをかけたのがトランプ政権。トランプ大統領は、暴利をむさぼる中国から世界を守ろうとするヒーローなのだ。

 

ところが、マスコミは「自由貿易を守っているのは中国で、保護主義なのはアメリカだ」と言っている。事実は逆だ。自由貿易のルール違反をやり続けているのが中国で、それを関税で制裁しようというのがアメリカだ。

 

 

米中覇権戦争を予言した本

世界を驚かせたのが、トランプ大統領が金正恩委員長に会った直後に、中国に対して、2000億ドルの制裁関税を言い出したことである。

 

実は、これは予想外ではない。今から1年半前、トランプ氏が大統領に当選した2016年の12月の時点で、こうした動きはすでに予測されていた。私が所属する幸福実現党の大川隆法・党総裁は、著書『繁栄への決断』(幸福の科学出版)の中でトランプ大統領の真の狙いをこのように述べている。

 

「(当選した直後に)台湾の蔡英文総統に電話を入れ、ロシアのプーチン大統領と友好的に接近しようとしている人(トランプ大統領)が考えていることとは何でしょうか。それは、『中国の覇権を止める』ということです。これが、『トランプ革命』の本当の意味なのです。私たちは、これを見逃してはなりません。ただし、それが分かるのは来年(2017年)以降でしょう

 

今起きていることは、単なる貿易紛争ではなく、米中の熾烈な覇権争いなのだ。

 

 

グローバリズムは崩壊する

なぜアメリカは中国にこれほどの貿易赤字を許してきたのか?

 

私が1990年代に国際金融業界で働いていた頃、アメリカは「製造業が海外に移転しても一向に困らない。これからのアメリカは"ものづくり"ではなく、金融とハイテクの大国になる」と豪語していた。

 

その結果、製造業の工場は国内からなくなり、労働者は職を失った。そこにトランプ大統領が現れ、「工場をアメリカに戻す」と公約し、それを果たすために、減税と今回の関税政策を行った。

 

関税のない「自由貿易」は、グローバリズムという資本主義の発展形に見えた。しかし、現実は、庶民と労働者を貧しくし、代わりに、中国に莫大な貿易黒字を許した。

 

トランプ大統領は、この反省に基づき、反グローバリズムへ、そして、中国の覇権阻止へ、国家戦略を大転換している。マスコミが報じないこの真実に、私たちは目を向けなければならない。

 

筆者

及川 幸久

(おいかわ・ゆきひさ) 1960年生まれ。上智大学文学部、国際基督教大学行政大学院修了。米メリルリンチ社、英投資顧問会社勤務を経て幸福の科学に出家。2012年より幸福実現党外務局長を務める。YouTubeに「及川幸久のトランプ・チャンネル」、Twitterでは「トランプ和訳解説@及川幸久」を開設し、トランプ情報を伝えている。著書に『あなたも使いこなせる トランプ流 勝利の方程式 ―考え方には力がある―』がある。

 

 

タグ: 米朝会談  覇権  及川幸久  幸福実現党  関税  貿易赤字  グローバリズム  

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