鹿児島地裁は22日、「国の新しい規制基準に不合理な点は認められない」などとし、川内原発(1号機)の周辺住民らによる原発再稼働差し止めの仮処分申し立てを退ける決定をした。住民側は、今回の決定を不服とし速やかに福岡高裁宮崎支部に抗告する方針だ。

先日、福井地裁が「国の規制基準は甘い」という地域住民の反対を受けて、高浜原発(3,4号機)の運転差し止めを命じたばかり。関西電力はこの仮処分決定を不服として、福井地裁に決定の取り消しを求める異議を申し立てている。原理力規制委員会が定めた規制基準について、2つの裁判所の判断が分かれた。

科学に「絶対安全」はない

福井地裁が原発再稼働に際し、ゼロリスクを求めるなど、感情的な判断を下したのに対して、今回の鹿児島地裁の判断は合理的だ。

技術革新が進んでも自動車事故はゼロにならず、風力発電や火力発電であっても一定の危険が存在するように、原発を再稼働させる上では100%安全とは言えない可能性は存在する。鹿児島地裁はそうした科学的な立場から、想定される原発の危険性は社会通念上無視できるレベルだとしている。決して原発は絶対的に安全だとする「安全神話」に基づいたものではなく、バランスの取れた判断だ。

エネルギー安全保障上、原発再稼働は待ったなし

再稼働反対派は原発事故の「可能性」ばかり注目しているが、この間、原発停止に伴い、火力発電に使うLNGなどの追加燃料費で毎日100億円の国富が「確実」に流出している。

また、今沖縄で米軍基地の辺野古移設が難航しているが、これに加えて原発の再稼働がすすまなければ、日本は危機に陥ることを指摘しておきたい。

南沙諸島に滑走路の建設を開始するなど、中国が軍事拡張を続ける中、もし速やかに基地移設が行われなかったならば、日米同盟に亀裂が入り、東アジアの安全が脅かされる事態になりかねない。その結果、中国に日本に輸入される石油の8割が通る、南シナ海のシーレーンを抑えられると、エネルギー安全保障上極めて危険な状態になる。日本のエネルギー自給率は4%ほどであることを考えても、原発再稼働は待ったなしだ。

原発再稼働の議論は刻々と変わる国際情勢も考慮に入れて行われる必要がある。高浜原発の再稼動差し止め仮処分は、速やかに取り消されるべきだ。

【関連書籍】

幸福の科学出版 『されど光はここにある』 大川隆法著

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