再稼働に向け準備が進んでいた関西電力の高浜原発(福井県)の3、4号機に対し、福井県や大阪府の住民9人が求めた運転差し止めの仮処分を14日、福井地裁が認めた。

仮処分は直ちに法的拘束力を持つため、今後の司法手続きで取り消されない限り、高浜原発の再稼働はできなくなった。関西電力はこの決定を不服として、福井地裁に異議と執行停止を申し立てる。

今年2月、高浜原発は、原子力規制委員会が定めた安全に関する新規制基準に合格していた。それでも福井地裁が運転差し止めを認めた理由は、「新基準は緩やかすぎ、基準に適合しても安全性が確保されない」「新基準は、深刻な事故を引き起こす可能性が万が一にもないような、厳格な内容を備えるべき」というものだった。

事故リスクをゼロにすることは不可能

明らかに合理性を欠く決定だ。新基準では、地震や津波の想定を拡大しているが、新基準をさらに上回るレベルの対策を定めている。あらゆる事故リスクをゼロにすることは不可能だ。年間4000人が事故で亡くなる自動車や、事故率が低いとはいえ墜落すれば確実に死亡事故につながる飛行機のリスクはどうなるのだろうか。点検や対策が済んだ原発は、ただちに再稼働を認めるべきだ。

原発の稼働が止まっている今、火力発電への依存が高まっているが、中東から輸入する石油を運搬するシーレーンは、中東の沿岸国の紛争や中国の覇権拡大などで不安定な状況にある。実際に有事が起きた場合、安全保障法制の整備の最中である日本が、迅速に対応できる保証はない。

また、日本に原発があることは、軍事的な抑止力になっている。つまり、他国から、「その気になれば、日本はすぐに核兵器をつくることができる」と思われていることが、間接的に日本を守っているのだ。その抑止力を失わせるために、中国の工作員が資金援助などを行い、反原発運動を推進しているとも言われる。

こうしたことを考えれば、原発事故のリスクよりも、原発の稼働を停止することによる安全保障上のリスクの方が大きいと言える。

原発が稼働しないほうが「人格権が侵害される」

関西電力は、福井地裁への異議申し立てが認められなかったとしても、上告先の名古屋高裁では判決を下す裁判官が違うため、決定を覆すことができると見ている。しかし、予定していた11月の再稼働は、厳しい状況だ。

福井地裁は「原発事故が起これば人格権が侵害される」としている。しかし、原発が稼働しないことによって、電気料金が上昇して日本経済も打撃を受け、さらには国防上のリスクも高めている。一体どちらが人格権の侵害をしているのか。福井地裁は、異議申し立てを認め、高浜原発は迅速に再稼働をするべきだ。(泉)

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