TPPで農業「聖域」に踏み込みか ピンチをチャンスに変えよう

2013.08.30

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の関税削減・撤廃をめぐり、政府は関税撤廃品目を全貿易品の90%前後に上げる方針を固めた。29日付各紙が報じた。

シンガポールなどが100%に近い関税撤廃を提示したことに対応した形だ。今後も更なる自由化を迫られ、最終的に98%前後が自由化されるとの見方が強い。そうなると、政府が「聖域」扱いしてきた重要5品目も関税撤廃を免れない。

重要5品目とは「米、豚牛肉、麦、乳製品、砂糖など」。これらの分野は国際競争力が低く、関税撤廃に耐えられないと言われている。今回、これらの「聖域」が関税撤廃の対象となれば、農協を中心に反対意見が噴出することは目に見えている。

しかし、長期的には農業の脅威はTPPではなく、農業の古い体質そのものである。日本の農業は生産性が上がらず、農業自体の魅力も下がっている。後継者不足で農業人口も先細りしつつある。農業従事者の平均年齢は66歳であり、このままでは本当に「絶滅」が近い。騙し騙しで現状維持を続けても、世界の自由貿易化への趨勢は止まらない。TPPを機に農業改革を進めるべきだ。

ありがたいことに、他の産業に比べても、農業政策の改善ポイントは明快だ。それだけ現制度が「ひどい」ということでもあるが、悪名高い減反政策や個別所得保障制度、農地売買の規制や農地集約化を阻む規制などを撤廃することで、いくらでも日本の農業は伸びるはずだ。

さらに、日本の農業を輸出産業化できる可能性は充分ある。世界の人口は増え続け今世紀中に100億人を突破すると言われている。世界の食料需要は飛躍的に伸び、食糧不足の深刻化が予想される。土地も人も限られるなか、技術力でどれだけ生産性を上げるかが鍵となる。狭い国土に苦しみながらも圧倒的な農業技術力がある日本にとって、大きなチャンスだ。

TPPに反対する人たちは「農業が危ない」と言うが、逆にピンチをチャンスに変え、一気に日本の農業を「未来産業」に転換することを目指すべきだろう。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『もしドラッカーが日本の総理ならどうするか?』 大川隆法著

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【関連記事】

2013年7月24日付本欄 日本がTPP交渉に合流 自民党は利益誘導型の政治から脱却すべき

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