《本記事のポイント》

  • 生活必需品のインフレは収束していない
  • インフレ率低下に影響を与える世界経済の減速
  • 親イラン・フーシ派がインフレを再燃させる可能性も

金融市場は連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切るのではないかとの観測が支配的になってきた。

先物市場は来年の利上げはなく、2024年5月から多くて6回ほど利下げに踏み込むと織り込み始めている。中には、1月30日に開かれる会合で、利下げするとの観測まで出始めた。

これまでFRBは11回利上げを行ってきたが、2会合連続で利上げを見送り、政策金利を据え置くことを決定した。インフレが落ち着く傾向にあることが、その主な要因として挙げられている。

生活必需品のインフレは収束していない

基本的に、FRBはインフレとの戦いに勝利したと見ているのだ。コアインフレ率は、1.9%に低下と発表されている。ではFRBは、その使命を達成したと見るべきなのか。

確かに、選挙戦を左右すると言われるガソリン価格は、1ガロン5ドルから1ガロン3ドルにまで下がりつつある。

「有権者=ドライバー」であるアメリカでは、米大統領選の行方はガソリン価格次第とも言われている。2009年にアメリカで誕生した自動車配車プラットフォームのUberの運転手は「給油するだけで一回につき80ドルかかっていたのが、40ドルほどに低下した」との安堵の声を漏らしている。

だが、そう簡単にはいかないかもしれない。