北陸電力が、石川県にある志賀原発の安全審査を原子力規制委員会に申請した。北陸電力は昨年7月に施行された「新規制基準」に基づいて、耐震性能、対津波性能、対火災性能などを大幅に強化したとしており、同原発の再稼働を目指す。これで原発を保有するすべての電力事業者が、安全審査を申請したことになる。

志賀原発は敷地内に活断層が存在する可能性が指摘されており、規制委の専門家らによる調査団が調査を続けている。結果が出るまでは審査が始まらない恐れがあるほか、住民による反対運動で自治体の同意が得られない可能性もある。

しかし、毎年のように夏冬の電力不足が騒がれる中、一刻も早い原発の再稼働で電力を安定して供給することが不可欠だ。福島の原発事故では、放射線により亡くなった地元住民はいなかったが、それに対して、熱中症による死者は、この夏だけでも全国で48人に及ぶ。電力不足でクーラーや暖房が使えなくなれば、犠牲者数に限って言えば、福島の事故以上の「事故」となりかねない。

原発の停止による化石燃料の購入増で、年間3兆円以上もの国富が流出していると言われ、現在も経済に打撃となっている。また中東情勢が不安定な上、中国の軍拡政策により日本近海の安全が脅かされる中、エネルギー需要の大部分を化石燃料の輸入に頼ることは安全保障上も大きな問題がある。安全審査をすみやかに行い、早期の原発再稼働を目指すべきだ。(瀬)

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