沖縄県の与那国島で19日、陸上自衛隊の沿岸監視部隊配備に伴う施設造成工事起工式が行われた。今後、150人規模の自衛隊部隊が2015年度末までに配備され、艦船や航空機の動向を監視する予定だ。自衛隊の配備で、南西諸島近海での中国の軍事的脅威に対する防衛力強化につながるほか、過疎化が進んでいる同島の経済活性化が期待される。

与那国島は日本の最西端の領土で、台湾、中国との国境近くに位置している島だ。約150km離れた場所には尖閣諸島が存在し、同海域では、中国の艦船が領海侵犯を繰り返しており、軍事的緊張が高まっている。それにもかかわらず、これまで与那国島には、自衛隊はおろか警察署もなく、島には祖納駐在所と久良部駐在所にそれぞれ警察官が1名ずついるだけだった。

今回の自衛隊配備で、離島防衛の強化が期待されるが、地元世論の後押しは万全ではない。昨年8月の町長選では、自衛隊誘致賛成派の外間守吉氏が、反対派の崎原正吉氏を47票差で破って当選したが、4年前の選挙戦での103票差と比べると、差は縮まっている。自衛隊の駐屯地設置で、近隣諸国との対立をあおるという意見も町民から寄せられている。

しかし、近年の領海侵犯のペースを見ても、中国が本気で尖閣諸島奪取をもくろんでおり、機会をうかがっているのは明らかである。中国の顔色をうかがい、必要な国防強化に尻込みしていれば、尖閣だけではなく、いずれは沖縄、最後は日本の独立すら危うくなってしまう。

アメリカが世界の警察官ではないと発言した以上、尖閣が有事などの際にアメリカが日本を守ってくれるとは限らない。日本は独立国家であるならば、日米同盟を強化した上で、国家の気概を示し、自主防衛にも力を入れていくべきだ。(冨)

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